働く広場2022年1月号
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働く広場 2022.1適性を見ながら評価する流れだ。入社1年目のメンバーに話を聞くことができた。業務サービスグループの事務所で部品検査をしていた中なか村むら裕ゆう人とさん(19歳)は、高等養護学校時代の職場実習で「指導員や先輩方のサポートのおかげで作業しやすく、事務所内の雰囲気も明るかったのが印象的でした」とふり返る。いま担当している作業内容は、在学中の職場実習時とあまり変わらないそうだが、「大きく違うのは責任がともなうことなので、緊張感があります。同じ作業でも、どうしたら効率的になるか、品質を上げられるかを考えながら取り組んでいます」。最近、納品などで出向いたある事業部で、自分のやってみたい作業を見つけ、社員に話を聞いてみたところ「がんばって、こっちに来なよ」と激励されたのがうれしかったそうだ。「メモを取るのが苦手なので、工場実習が始まるまでに、しっかり身につけたいです」と話してくれた。 〈職場実習期〉入社2~3年目は工場実習がメインとなる。ふだん勤務する職場は派遣先の事業部となり、実習時間は9時~16時。朝礼と終礼だけは業務サービスグループで参加する。現在の派遣先の事業部と派遣中のメンバー人数は、搬送システムにかかわるIL事業部9人、洗車機のAW事業部7人、半導体製造などクリーンルーム向け搬送システムのCR事業部5人、自動車生産ライン向けシステムのAM事業部4人となっている。一人ひとりが担当する業務も、世界中から納品される部品などの受入れ・配膳(※2)、機械のユニット単位のサブ組立や部品などのライン組立、塗装加工、完了品の検査や出荷、生産管理や調達などさまざまだ。この実習期間は、派遣先の支援担当社員や指導員と一緒に、メンバーが自分なりの目標や課題、それに対する具体的な行動などを設定する。これを「行動目標シート」にして事務所内にも掲示、つねに意識しながら仕事に励む。 〈職場適応期〉入社4~5年目になると派遣先の事業部に直行直帰する形をとり、勤務時間も8時半~17時のフルタイムとなる。ここで安定した就業状態が認められると、業務サービスグループを“卒業”し、各事業部に配属されることになる。もちろん配属後も指導員が現場を回りながら、安定して働き続けられるようフォローしている。メール室で作業中の岡おか田だ恒こう平へいさん(30歳)に話を聞いた。大学卒業後に市役所で臨時職員を1年経験後、滋賀障害者職業センターで訓練を受け、ハローワーク経由で2018年に入社した。統合失調症と発達障害の診断を受けているが、「市役所では自身の障害を開示していなかったので、きつかったです。電話業務と、ほかの業務を同時並行で進めることが苦手なのですが、ここでは配慮してもらいながら働けています」という。いまは郵便物などの仕分け・配達のほか、他部署から依頼された書類チェックや入力作業も担当。自分でメモからつくりあげた手順ノートを見返しながら、ミス防止に努めている。「障害者職業センターで手順書をつくるプログラムがあり、とても役立ちました」と笑顔で話す。同僚のメンバー2人と一緒に働くなかで、一時は「自分は能力が劣っているのではないか」と悩んだこともあった。話を聞いてくれた指導員の北きた浦うら律りつ子こさんに「他人と比較してもマイナスにしかならない。昨日の自分と比べてみたら」とア事業部に配属、職種専任型社員を目ざす4事業部への派遣による工場実習メール室で働く岡田恒平さん岡田さんは社内便の仕分けや配達を担当している※2 配膳:部品の配膳とは、部品の置き場において組立工程ごとに必要な部品を事前に仕分け、作業者に供給すること9

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