働く広場2022年1月号
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の良好なコミュニケーションがうかがえる。そうした姿を見ながら、お二人は、「長年働いてきた戸倉さんにはそろそろ負担の軽い作業も検討していきたい」と話してくれた。 また、2021年に地域の特別支援学校である東京都立青せい峰ほう学園から実習生を受け入れた際、実習生たちに作業を教える役割を戸倉さんにお願いしたところ、スムーズに指導できたそうだ。彼女にとって、やりがいのある仕事だったようである。 しかし、長年働いていると、さまざまな不安や悩みは必ず出てくる。そのようなとき、職場の上司や人事部のみなさんは、言葉で上手に伝えられない戸倉さんの気持ちを汲み取り、外部の支援機関と連携して支援を行ってきた。東京障害者職業センター多摩支所、東京ジョブコーチ支援センターなどに相談して、ジョブコーチの派遣のお願いもしてきた。外部の支援機関を活用しながら、年齢や体力に合わせた作業の組み立てを再構成することで、長期雇用が実現している。そこにはパルシステム東京が目ざすビジョンと同様に、ともに働く職員のライフステージに合わせた働き方を大切にする思いがある。取材後には、センター長の三橋さんと供給長の鈴木さん、人事部のみなさんと、就労支援センターのスタッフとの支援会議が行われた。上の人が7割を超えていることが大きな特徴である。そこには、長期雇用を見すえた定期的なフォロー面談の実施、当事者およびその家族・関係者を含めた交流会の実施、変化していく障害のある職員の状況に合わせて、就労支援機関を積極的に活用しながら業務内容を見直していくという、ていねいな雇用管理がある。そうした取組みが評価され、東京都の「令和3年度障害者雇用エクセレントカンパニー賞」の東京都知事賞を10月に受賞した。 今回の取材は、東京都立羽は村むら特別支援学校を卒業後、29年間働いている戸と倉くら良よし子こさんが勤務する青梅センターを訪ねた。職場では、センター長の三みつ橋はし丈たけ晴はるさんと供給長の鈴すず木き佑ゆう門とさんとともに、人事部の人事・育成課課長の飯いい嶋じま和かず紀のりさん、主任の福ふく元もと研けん太たさんが迎えてくださった。みなさんと取材の内容などについてお話をした後で、戸倉さんが働く倉庫業務の現場へと案内していただき、配送する商品のコンテナに入れる保冷剤の洗浄作業を見学した。戸倉さんは就労上の重度障害者の判定を受けているが、慣れた作業のためか、きびきびと作業している。洗浄された保冷剤が詰まったケースは10㎏近い重さがあるが、かご台車に手際よく積んでいた。 三橋さんや鈴木さんが声をかけると元気な声で返事が返ってくる。日ごろから「生活協同組合パルシステム東京」は、宅配事業、福祉・保育事業、共済事業などを行っており、職員数は1832人。そのうち障害のある職員は36人(2021〈令和3〉年8月現在)おり、身体・知的・精神の手帳を持つ人がおもに配送センターなどで勤務している。そのうちの約6割強が知的障害者であり、勤続5年以長期雇用を目ざして関係機関と連携して支える働く広場 2022.1人事・育成課課長の飯嶋和紀さん(左)、主任の福元研太さん(右)保冷剤を洗浄する戸倉さん勤続29年の戸倉良子さん生活協同組合パルシステム東京「青梅センター」供給長の鈴木佑門さん(左)、センター長の三橋丈晴さん(右)地域の関係機関とともに育てる・学ぶ地域とかかわりながら、自分の役割を意識し強みを伸ばす在学中からの連携と育成が定着を生む123POINT21

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