働く広場2022年1月号
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とは、何のために働くのか、だれのために働くのかを考える機会となる。ロジスティクスコースの実習室を訪ねると、印刷製本などの作業を行っていた。リーダーの生徒は、印刷枚数のダブルチェックをしているところであった。教職員や地域からの受注は、正確性などを学ぶよい機会となる。 就業技術科では、部活動も全員参加で積極的に行っている。運動部に加え文化系の部活も人気がある。パソコン部の活動を見せていただいた。顧問の細ほそ川かわ信のぶ之ゆき先生の指導のもと、日本語ワープロ検定や情報処理技能検定などで在学中に1級や初段を取得する生徒が多数出ている。全国パソコン技能競技大会で入賞する成果もあげてきた。さらには、卒業生の生涯学習機会も提供しており、全国パソコン技能競技大会で、2019年度、2020年度に団体戦で2位入賞の成果も収めている。そのほか、伝統文化部は、今年度の第45回全国高等学校総合文化祭(日本音楽部門)に東京都代表として出場した。卒業後も琴の演奏を職場で続けている卒業生もいる。 職業教育も部活動も成人期の学びにつながり、自分の強みを広げ、社会や地域のなかでの役割を意識するきっかけになっていると思われる。その価値や意味を学ぶ学校の営みに今後も期待したい。つけることで、今後の社会の変化に対応した働き方が実現できると思われる。パソコンの導入には保護者の費用負担もあるため、それに応える成果をあげたいとの考えである。 有馬先生、篠原先生にコロナ禍での進路指導の状況をお聞きした。今年度オンラインによる会社見学、会社との面談、現場実習がすでに行われており、緊急事態宣言下でも感染防止対策を行いながら進路指導に取り組んでいる。また、現場実習ができない会社には、学校に出向いてもらい、学校の施設を使って実習をする方策も取っている。 就業技術科の4コースの授業の様子も見学した。エコロジーサービスコースは、開校以来校内の清掃を授業で行っており、開校10年を超えても各場所がきれいに保たれている。生徒昇降口での清掃の様子を見ていると、来客への適切な挨拶が返ってくる。校舎1階にある「のんびりカフェ」では、食品コースのパン販売と福祉コースのカフェが一緒に行われていた。パン製造のスキルに加え、接客の対応力も身につけながら、顧客意識から品質意識へと働く意義を深める機会をつくっている。福祉コースの実習室では、高齢者介護の職場で行われるベッドのシーツ交換の授業場面を見せていただいた。直接介護の仕事に就く卒業生はまだ少ないが、介護の業務を体験し学ぶこ開校し、12年目を迎える。肢体不自由教育部門の小学部・中学部・高等部普通科と、知的障害教育部門の高等部専門学科・就業技術科の併置の学校である。2021年現在、肢体不自由教育部門は3学部全体で16人の児童生徒が学んでおり、スクールバスで通学をしている。知的障害教育部門の高等部就業技術科は、学年60人の定員で計177人の生徒が学んでおり、電車・バスなどの公共交通機関で通学している。山やま本もと和かず彦ひこ校長と有あり馬ま宏ひろ子こ先生、進路指導主任の篠しの原はら正まさ樹き先生にお話をうかがった。東京都では2022年度より高等部の生徒一人ひとりにパソコンが配備される予定である。コロナ禍になり、卒業生のなかでも在宅勤務が増えてきている状況を見ると、パソコンを使用して業務を行う力もつける必要があると考え、校長自らが、オンラインによる授業や講話などを行っている。これまで「英語のトリビア」、「青峰学園のトリビア」などのテーマで、生徒が楽しみながら学ぶ機会を提供してきた。生徒たちはパソコン操作に慣れ、校長とのチャットもできるようになってきた。生徒にはクラスごとのグループがつくられ、教職員にも情報共有ができるグループが組まれている。これで、ホームルームや職員会議がオンラインでできる環境が整った。それぞれがパソコンなどのリテラシーを身に働く広場 2022.1東京都立青峰学園食品コースの(学内向け)パン販売ロジスティクスコースの実習の様子(左から)有馬宏子先生、山本和彦校長、篠原正樹先生福祉コースのシーツ交換の実習パソコン部の活動。部員は検定に向け練習に励む指導にあたる顧問の細川信之先生(右)25

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