働く広場2022年1月号
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働く広場 2022.1第1回第1回ジョブコーチ支援ジョブコーチ支援~ナチュラルサポートをめざして~~ナチュラルサポートをめざして~ 障害者雇用では、障害のある社員の職場定着が大きな課題となっています。障害のある人が安心して就労し、安定して勤め続けるために重要なのが職場での支援体制です。なかでも「ジョブコーチ」と呼ばれる支援者が果たす役割に大きな注目が集まっています。 今回から3回の連載でジョブコーチを活用した障害者雇用の取組みをお伝えしていきます。クローズクローズアップアップ 今回は、社会福祉法人寿じゅ陽よう会かいが運営する「特別養護老人ホーム空」を取材。ジョブコーチの活用事例を紹介します。「特別養護老人ホーム空」では、2020(令和2)年9月から、身体障害(アペール症候群)と軽度の知的障害のある小こ能の見み彩あや夏かさんが働いています。担当している業務は、施設利用者のベッドメイクと清掃。1日5時間、週5日の勤務で、施設の利用者が快適に過ごせる環境を整えています。 小能見さんの採用にあたり同施設で活用したのが、ジョブコーチの支援。もともと小能見さんの就労移行支援を担当していた社会福祉法人光明会に所属する「訪問型ジョブコーチ」と、当機構の千葉障害者職業センターに所属する「配置型ジョブコーチ」によるペア支援が実施されました。 ジョブコーチの支援は、大きく分けて「雇用する事業所に対する支援」と「障害者本人に対する支援」の二つがあります。事業所に対する支援の一つが、業務の進め方について、本人が作業しやすいような環境を整えるためのアドバイスです。例えば、小能見さんの支援では、次のような経緯で作業環境の改善を図ったと、同施設副施設長の塚つか本もと大だい輔すけさんは話します。「初めは、掃除機を活用して床の清掃をしていたのですが、うまく扱えていない様子を見たジョブコーチが、より扱いの簡単なモップの活用を提案してくれました。モップを洗うバケツを運ぶ台車についても、だれかが使っていて所定の置き場にない状況にとまどう様子が見られたので、小能見さん専用の台車を用意することで、スムーズに業務にあたれるようになりました」 一方で、ジョブコーチは小能見さん本人に対して、作業をどのように進めたらよいのか、具体的な手順をわかりやすくアドバイスしてくれたそうです。 ジョブコーチ(職場適応援助者)は、障害のある人が企業で働くにあたり、障害特性をふまえた専門的な支援を行い、障害者の職場適応と職場定着を図る支援者です。 障害者本人に対して、職務の遂行の仕方や職場内でのコミュニケーションに関する支援などを行う一方で、職場となる企業に対しては、どのような仕事に従事してもらったらよいのか、どのように関わっていけばよいのかなどの障害特性に配慮した雇用管理に関する支援などを行います。 ジョブコーチは、所属する機関や支援対象などによって、当機構の地域障害者職業センターに所属する「配置型ジョブコーチ」、就労支援を行っている社会福祉法人等に所属する「訪問型ジョブコーチ」、障害者を雇用している企業に雇用される「企業在籍型ジョブコーチ」の三つの形に分けられます。 支援期間は1~8カ月(標準2~4カ月)で、対象の障害者が職場に定着するための具体的な目標を定め、支援計画に基づいて支援を実施します。社会福祉法人寿じゅ陽よう会かい特別養護老人ホーム空(千葉県八やち街また市)◆事業内容 2012(平成24)年開設。在宅での生活が困難な高齢者に対しての生活全般の介護サービスを提供。◆従業員数 59人(2021年11月1日現在)。【取材先プロフィール】ジョブコーチの助言をふまえ作業環境と手順を改善﹁ジョブコーチ﹂とは26

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