働く広場2022年1月号
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 いまでは当社全体で、障害のある社員は130人(身体障害51人、知的障害42人、精神障害37人)、障害者雇用率2・52%(2021年6月1日現在)となっています。――あらためて採用・支援の取組みについて教えてください。垣見 当社の採用方針は、障害の有無にかかわらず、社員としてしっかり役割を認識してもらい、成果を出していくことを前提としています。障害は社員の一個性であると認識しており、配慮はしますが、特別扱いはしません。障害のある社員も、そういった関係を望んでいます。重要視しているのは、障害を受容して働く意欲がある人。仲間への思いやりや、成果を出そうと努力する姿勢も大事です。説明会や実習で、職場をよく知ってもらい、面接には支援機関や家族の方も同席してもらっています。 入社後は、短時間勤務や週4日制勤務など柔軟な働き方を可能にしているほか、ジョブサポーターによる月1回の面談をはじめ、体調管理を含めたフォローに力を入れています。 さらに、一人ひとりが長期的な視点でステッなどを共有し、毎回テーマを決めて議論しています。ほかにも専門家を招いた講演会やワークショップも開催しています。ダイバーシティはまさに経営の重要な施策の一つですから、経営陣がしっかりと会社の状況をふまえ問題意識を共有し、推進の責任者として進めていくことが何より重要です。障害者雇用も、ダイバーシティのテーマの一つとしています。 委員会立ち上げの年に、さっそく人事部が中心となって、障害者雇用のための支援担当社員(ジョブサポーター)の採用を具体的に進めることになりました。現在は9人で、就労支援にかかわってきた人たちばかりです。彼らは自分たちで「業務サポート」という名称を考え、職場内に手づくりの看板を掲げ、チラシを手に社内をまわり、仕事をもらえるよう営業活動もしていました。 そして2019年には正式に「業務サポートグループ」が発足しました。障害のある社員に活躍してもらうための組織で、社内メール便や印刷、スキャニング、備品補充作業などの業務を請け負う拠点です。本社エリアでは東京都の田町と江戸川橋の2拠点で、障害のある社員32人が勤務しています。なかには、ジョブサポーターの支援を必要としなくなって「卒業」し、別部署に異動した人もいます。各社員の過去の役職をすらすらと口にする様子を見て驚いたのを覚えています。それぞれ特性や能力を活かして活躍する障害者雇用のあり方は、職場全体の活力にもつながると感じていました。 ところで当社ファミリーマートは、2016年までは障害者雇用率が未達成で、ハローワークから指導が入っていました。エーエム・ピーエム、ココストア、サークルKサンクスなどとの合併を重ねてきた当社は、多様な人材が集まるダイバーシティの素地がある一方、急激な組織拡大のなかで、じっくりと障害者雇用に取り組むことまで手が及ばなかった状況でした。 せっかく障害者を採用して各部署に配置しても、しっかりした支援体制がなく、特に精神障害や知的障害のある社員が定着できないケースが少なくありませんでした。配慮すべき点がずれていたり、逆に配慮しなくてよいことを配慮したりして、互いにうまくいっていない状況があったようです。――そのようななか、2017年に「ダイバーシティ推進委員会」を発足されました。垣見 ダイバーシティ推進委員会は、社長をトップとする経営陣で構成されています。必ず年1回集まり、推進方針や進捗状況、課題働く広場 2022.1「個別支援計画」「評価制度」の導入3

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