働く広場2022年1月号
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プアップできるよう「個別支援計画」をつくり、2020年からは「評価制度」、「永年勤続制度」も導入しました。本人の努力や成長ぶりをみて、定期面談でフィードバックしながら、賞与や手当にも反映させていく仕組みです。 一方で私自身は、社内の理解促進が足りないと感じており、各部署での受入れ研修、イントラネットによる周知活動、ワークショップの実施といった地道な活動や、新入社員向けの研修も予定しています。――ファミリーマートは農場スタッフとしての障害者雇用も進め、収穫野菜の店舗販売も行っているそうですね。垣見 2013年に初めて農場専任の障害者スタッフの採用を始めました。千葉県流山市にある農場は、東京ドーム2・5個分のとても広い敷地です。ここを運営する株式会社EえCかAの「えかオーガニック農場」に農業指導を委託しています。現地にはジョブサポーター役の社員が常駐し、本社のマネジャーや社員も月に数回出向いて、彼らの仕事ぶりを確認しています。私も何度も農場に行っていますが、当日の作業担当が細かく割りふられがいにつながっています。――就労訓練向けのコンビニ店舗も運営しているそうですが、その取組みについて教えてください。垣見 2008年に「新宿スポーツセンター店」を開店し、「公益財団法人新宿区勤労者・仕事支援センター」から実務訓練の実習生を受け入れています。現場では、接客からバックヤードの対応、在庫管理、清掃まで、ひと通りの業務を1日2時間から、訓練してもらっています。レジ以外の作業でも、店舗内にいれば顧客対応をすることもあります。常温・冷凍・冷蔵の各商品の温度管理や、食品ロスを減らすためにさまざまなルールを設けており、こうした業務も含めて現場感覚が養えるはずです。実習生たちも仕事のやりがいが増しているようですね。 一方で店舗側も、実習生を受け入れることで「品出しは任せられるな」、「こんな工夫をすれば、別の作業もできそうだ」といった気づきが生まれています。こうした経験や実績をベースに、これまで障害のある人は本社や農場での就労がほとんどでしたが、店舗で就て黒板に書かれ、みんなテキパキと働く姿に感心させられます。通常は農場勤務ですが、コロナ禍への対応として、希望者に本社に来てもらって、ワクチンの職域接種をしました。 農場で収穫された野菜は、当初は社内販売だけでした。しばらくして農場わきでの露店販売に挑戦しました。重度の知的障害のある社員たちが担当するため、計算しやすいよう値段はすべて100円にしたところ、有機野菜で値段も安いため、飛ぶように売れたそうです。私はいまも社内販売会で購入していますが、とてもおいしいんですよ。 その後、近くのファミリーマートの駐車場を借りて販売したところ評判になり、店舗内での販売に切り替わりました。現在近隣の10店舗に広がっています。週3回ほど特設コーナーで販売しますが、いつも1時間ほどで売り切れており、値段も相場に合わせ少しずつ上げています。他店舗から「うちでも販売したい」との要望があり、拡大を模索中です。 こうして社内販売からステップアップしていくうちに、「店舗販売こそが、私たちの経営方針である〝地域密着〞に合致する」と気づきました。地域のファミリーマートで自らが一生懸命つくった野菜を販売して喜ばれることは、農場で働く社員にとっても大きなやり働く広場 2022.1農場野菜をファミマ店舗で販売コンビニ店舗での就労4

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