働く広場2022年1月号
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労するケースも増えてきました。いまは障害のある社員12人(身体障害8人、知的障害1人、精神障害3人)が直営店で働いています。 例えば補聴器をつけている社員は、制服の胸のところに耳が聞こえづらいことを伝えるマークをつけ、店長職も経験しています。また知的障害のある社員は、品出しやコーヒーマシン清掃、備品発注などを担当しています。 当社では、経営が厳しいフランチャイズ店を直営化して立て直し、再びフランチャイズ化するスキームを推進しているのですが、直営店舗で障害者雇用の拡大を試行しているところです。――今後の障害者雇用の展開について、お考えをお聞かせください。垣見 社内業務のAI化などによって、障害のある社員が現在担当する仕事が減っていくと予想されるため、職域拡大に力を入れています。 2021年からは、全国4エリア(北日本、東日本、中日本、西日本)の本部を中心に、障害者雇用の職域拡大のための場をつくりました。これまでもニーズがあれば個別に対応してきたのですが、明確な方針を掲げてスタートさせた形です。東京都の池袋では実際に就労が始まり、9月から名古屋・大阪のエリア本部内で実習をスタート、採用につながっていると聞いています。2022年には札幌・仙台・福岡でも予定しています。 ふり返ってみると、私が出向してきた2年半前は、コンビニ業界は右肩上がりでした。その後、24時間営業問題や食品ロス問題、加盟者をめぐる問題などが一気に噴出しました。人材不足も大きな課題になっています。まさにコンビニの転換期を迎えていると実感しています。 コンビニのあり方は、今後もどんどん変わっていくでしょう。当社は、新たにデジタルサイネージを活用したメディア事業を展開して情報発信を強化するほか、無人決済型の店舗も次々とオープンさせています。 ひと昔前のコンビニは、一人でレジから品出しや在庫管理まで任され、いわゆるマルチタスクが求められていました。いまはオペレーションが複雑化するかわりに、商品管理など店舗内での分業も進みました。つまり、レジ以外の仕事を担当する働き方が可能になり、障害のある人も勤務がしやすくなってきているわけです。分業化によって「だったら働ける」という人も増えるでしょう。障害のある人も、特性などを見きわめれば、働く場がいくらでもあります。この変革期に、障害者雇用の促進を図る取組みは、会社全体に貢献できるものだと実感しています。コンビニを取り巻くさまざまな困難は、結果として新たな発見があり、障害者雇用の促進につながったものと思っています。 今後も、当社が掲げる「誰もが働きやすい、インクルーシブな職場づくり」に向けた取組みを強化し、障害の有無にかかわらず、いろいろな人に「ここなら働いてみたい」と思ってもらえるような〝地域密着の職場〞を目ざして努力と工夫を重ねていくつもりです。Leaders Talk働く広場 2022.1「地域密着の職場」を目ざして5

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