働く広場2022年1月号
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滋賀事業所は、障害のある従業員が人(身体障害5人、知的障害 人、精神障害6人)まで増え、これを含むダイフク全体の障害者雇用率は2・ %(2021︿令和3﹀年 月 日現在)となっている。そのうち、「人事総務本部総務部業務サービスグループ」に所属する契約社員(以下、「メンバー」)は、 人(知的障害 人、精神障害2人)だ。働く広場 2022.11937(昭和12)年設立の物流システムメーカー「株式会社ダイフク」(以下、「ダイフク」)は大阪市に本社を構え、物流システムのコンサルティング・設計・製造などを手がける。自動車生産ラインのコンベヤシステムをはじめ、立体式自動倉庫、空港内の手荷物搬送システムなど幅広い事業を展開し、従業員数はグループ全体で1万1000人超だ。なかでも滋賀事業所は、約120万㎡の広大な敷地に12の工場などが集約された一大生産拠点で、3000人以上が働いている。ここに2007(平成19)年、障害者雇用を本格的に進めるための専門534254613634チームがつくられ、試行錯誤を重ねながら、高等養護学校(※1)などと連携した職場実習や、入社後の長期的な教育カリキュラムなどを導入してきた。同グループのグループ長を務める薩さつ摩ま一かず男おさんは、「本業である“ものづくりの現場”で実習を何度も行うことで、一般従業員と同じように生産性を高めていける人材の確保と育成を図っています。メンバーそれぞれが仕事の能力を磨き、やりがいを持って働き続けられる環境ができつつあります」と話す。もともとダイフクでは製造現場などで、おもに身体障害のある社員が働いていたが、規模拡大にともなう職域・雇用拡大をなかなか進められなかった。そこで2007年、滋賀事業所の滋賀総務グループ内に、障害者雇用のための「環境サービス」というチームをつくった。ハローワーク経由で採用した知的障害のあるメンバー4人と指導員の社員1人で、事務補助や清掃などを行っていたが、「そうした業務だけでは雇用人数に限界がありました。私たちの本業である製造現場でも、メンバーが働ける仕組みづくりが必要だと考えました」と薩摩さんは話す。続いて同年から、滋賀事業所は、ハローワークや障害者就業・生活支援センター、地元の滋賀県立高等養護学校などと相談して、職場実習生の受入れを開始。軌道に乗り始めた2012年から定期採用するようになった。その後、着実にメンバーが増えていった環境サービスのチームは2017年、ダイフク総務部傘下の独立部署「業務サービスグループ」となった。現在はメンバー36人と指導員6人。なお、指導員には、福祉分野などの専門知識がある人も採用している。2021年入社の宮みや元もと真ま由ゆ美みさんは、社会福祉士と精神保健福祉士の資格を持ち、福祉作業所などに勤務した経験も活かしながらメンバーの支援に努めているそうだ。発足当初の業務サービスグループでは、事務補助、社内メール便、厚生施設の清敷地120万㎡の生産拠点高等養護学校と連携し定期採用製造現場での障害者雇用を進めるために専門部署を設置地域の高等養護学校と連携し、職場実習でマッチング安定して現場で働き続けるための人材育成カリキュラム123POINT工場で使用する部材などが納められた自動倉庫(後列左から)木下伸史さん、薩摩一男さん、中川淳さん、寺島俊恵さん、宮元真由美さん、北浦律子さん※1 高等養護学校:特に職業教育に重点を置いたカリキュラム編成により、就労による社会的自立を目ざす高等部単独で設置される特別支援学校。高等特別支援学校ともいうが、地域により名称が異なることが多い7

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