働く広場2022年2月号
10/36

働く広場 2022.2いめまいに襲われてしまい、2週間ほど休んだこともあります。職場のみなさんがやさしいので、とても働きやすいです。ADHDの薬を服用し、月1回来社するジョブコーチにも助言をもらって体調管理に努めています」佐藤さんの上司である坂さか本もと篤あつ繁しげさんは、「苦手だと話していた電話も、職場に慣れてきたからなのか、いまは積極的に対応してくれています。もの忘れについても、自分でメモを取るようにしているからでしょうか、特に業務に支障はありません」と太鼓判を押す。「たまに気圧の関係で体調を崩すようなので、そこだけ気をつけてもらえたらと思っています。お昼以外でも、自分のタイミングで休憩を取ってもらっていますが、煮詰まっていそうなときは、声がけをして気分転換をうながしています」 入社後、休職を機に障害者手帳を取得した社員もいる。2018年入社の阿あ部べ貴たか志しさん(27歳)は、大学の新卒採用で営業職として入社。ところが半年ほどで体調を崩し、病院で双極性障害の診断を受けたうえで3カ月間ほど休職した。「当時は初めて一人暮らしを始め、仕事も含めた環境の変化についていけなかったのかなと思っています」とふり返る。阿部さんは実家に戻り、まずは生活習慣を整え、散歩などで気分転換しながら、不得意だったタイピングの練習をして過ごしたという。「休職中は、もう会社に戻れないのではないかという不安が大きかったのですが、毎週、上司が電話をくれて様子を聞いてくれたことで、気持ちが楽になりました。ありがたかったです」復職するときには、主治医からのアドバイスで、1日2時間勤務からのスタートを自ら提案し、2時間ずつ延ばしていったそうだ。いまは会社のフレックスタイム制度を活用して9時半~18時20分の勤務。復職後の配属先は、上司と相談し、営業から営業事務の部署に変わったが、「周囲の人たちも自然な対応で受け入れてくれたので、スムーズになじめた気がします」という。復職直後は、2週間に1回の面談をしながら職場環境に慣れていったそうだ。職場では契約書などの管理や、売上資料の作成などを担当。「突発的なことがなく、期限さえ守れば自分のペースで仕事をこなせるので、精神的な負担が軽いですね」と阿部さん。いまもたまに体調を崩すことがあるため「新しくできた通院休暇も助かります」と語る。コロナ禍を機に、社内書類の電子決裁化など新しい取組みにもかかわっている。「今後も既存作業の効率化に貢献していけたら」と意欲を見せる阿部さんは、健康維持のためのウォーキングや筋トレのほか、食事にも気をつかうようになったそうだ。阿部さんは精神障害と就労についてこう伝えてくれた。「目に見えない障害なので、何かと敬遠する人もいるかもしれませんが、環境が整えば、しっかり働けると証明していきたいです。障害のある人が働きやすい職場というのは、当事者がどんな支援をしてほしいかを明確に伝えられ、職場側は当事者の話にしっかり耳を傾けてくれる環境があることなのだと、あらためて感じています」 これまで精神障害のある社員の支援を担当してきた八木さんは、いくつか気づきもあったという。例えば、休憩については「勤務時間中新卒で入社後に休職「休憩の質を高めること」本社営業部営業管理グループの阿部貴志さん阿部さんは、営業事務を担当している8

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る