働く広場2022年2月号
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働く広場 2022.2 一方で、現在は、障害のある社員に関わる業務に取り組む担当者が岡さん一人であるため、全社的な状況を細やかに把握しきれないことへの課題も感じているそうです。 「私だけでは対応できない部分は、支援機関と連携を図り、支援機関の支援者との定期的な面談の機会を設けることなどでフォローしてもらっています。特に、店舗については、支援機関のサポートを受けている人を積極的に採用し、就労後の支援と情報の共有を続けていただくことで、目の届きにくさをカバーしています。しかし、より細やかなサポートをしていくためには、ジョブコーチや障害者職業生活相談員に準ずる立場の人を、全国各地に配置する必要性も感じています」と岡さんはいいます。 具体的には、各エリアを統括する立場の社員(教育リーダー)に、ジョブコーチや障害者職業生活相談員などの資格を取得してもらい、障害のある社員をサポートする役割をになってもらうことなどを検討しているそうです。 「担当者が異動したときなどにもサポートが途絶えることがないよう、『引き継ぎ書』などを整備し、継続的な支援を職場全体で実現できるような仕組みもつくっていきたいと考えています」  本社にある「ジョブサポート」では、社内のさまざまな部署から依頼された業務を、障害のあるメンバーで分担して進めています。岡さんは、ジョブコーチの視点で業務を分析し、作業手順や指示の方法などに工夫をしながら、メンバーの特性に応じて業務をふり分けています。メンバーの業務が円滑に進められるように岡さんをサポートしているのが、ジョブサポート・リーダーの津つ野の田だ恵え理りさんです。津野田さん自身も発達障害などがありますが、ジョブサポートのメンバーとしての業務をになうほか、全体の状況を把握してメンバーに指示を出す立場をになうことで、岡さんへ負担が集中することを防ぎ、メンバーへの細やかなサポートを実現しています。 「障害があってもリーダーという立場を任されて、自分の可能性を拡げてもらえることにとても感謝しています。現在は、障害者職業生活相談員の資格を取得し、自分自身やメンバーへの対応に活かしています。今後は、さらにジョブコーチの資格を取得して、どんな方でも働きやすい職場づくりに貢献していきたいです」と津野田さんは話します。  現在、イオンファンタジーの本社で働く社員の5人に1人が障害者です。障害のある社員が活躍する姿を実際に見てもらうことで、社内に、障害者雇用を前向きにとらえる雰囲気ができてきたと、岡さんは感じているそうです。 「社内の障害者雇用全体に関連する業務は、ほかの業務との兼務が非常にむずかしいと感じています。私自身も、障害者雇用の専任の担当者としての立場を明らかにしてもらえたことで活動がしやすくなり、その結果が、障害者雇用率の達成や定着にもつながったと思います。今後の目標は、2年以内の障害者雇用率5%の達成です」と、岡さんは意欲的です。 社内に障害のある社員をサポートする人を増やすことで、職場のだれもがサポートできる体制ができ、岡さんの目標に、また一歩、近づくことになるでしょう。ジョブサポート内の「イラストレーターチーム」では、専門職であるイラストレーターの4人が活躍している。自身もパニック障害のある高たか野の哲さとしさん(左)がリーダーとしてチームをまとめている雇用規模の拡大により支援機関と連携が不可欠に障害者自身も支援する立場に専任担当者の必要性を実感打合せをする岡さん(左)と津野田さん11

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