働く広場2022年2月号
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の会社に。うち2人は障害のあるスタッフだ。豆を育てるようになってからは、松﨑さんも年間約160日は畑に出ているそうだ。「会社の業務内容としては、畑でピーナッツの生産をして、ピーナッツセンターという工場で洗浄・選別・乾燥・焙煎を行っています。また、そこで出たB級品をペーストにして、ソフトクリームなどに加工しています。繁忙期は節分に向けた12月から2月。会津では冬場の仕事がないため、障害者の授産施設にピーナッツの殻を剥むく仕事を依頼しています。100%手剥きのピーナッツというのは価値があり、販売する際の売りにしています」と松﨑さんは話す。 また、さまざまな企業とコラボし、ピーナッツを介して多くの商品を生み出しているのも特徴的だ。喜多方ラーメン店とともにピーナッツの担々麺を開発したり、ソースカツ丼にピーナッツを使うなど、ヒット商品が多数あるそうだ。 本部長の上うえ野の雄ゆう市いちさんは、松﨑さんの「みんなが横でつながって、資源同士をコラボさせると、よりすばらしい資源に変わっていく」という考え方や、夢に向かっていく姿に惚れこんで入社したそうだ。淡々とインタビューに応じる松﨑さんの内側には、郷土を愛する強い想いがあることを上野さんの言葉から感じた。00円ほどにガクンと落ちてしまいました。農家さんが気の毒で、500円で買っていたものの、そのままでは赤字になるので、煮豆に加工して道の駅で販売しました。すると30分で完売したんです。『500円で買っても付加価値をつければ利益が出る』ということがわかり、少しずつ豆の仕入れから加工販売に切り替えていくことになりました。いまから15〜16年ほど前、私が30歳ごろの話です。1年後に法人化し、『株式会社おくや』という名前で長らく運営していました」と松﨑さんは話す。 しかし昨年、コロナ禍で客足が激減。そこで、かねてから温めていた「一から豆を育てる農家をやりたい」という思いを形にしようと決意。奥さまに株式会社おくやの代表を任せ、松﨑さん自身は「株式会社オクヤピーナッツジャパン」という農業生産法人を、2020(令和2)年4月に設立した。 従業員4人からスタートし、いまは11人 東京から新幹線と在来線を利用して4時間強。ピーナッツの生産・加工・販売を生業にしている会社で、障害者雇用のみならず、地域の福祉事業所や企業とコラボレーションして地域おこしに取り組んでいる農業生産法人「株式会社オクヤピーナッツジャパン」。その取組みをレポートするため、人口約4・4万人の、ラーメンで有名な福島県喜多方市を初めて訪れた。まずは代表取締役の松まつ﨑ざき健けん太た郎ろうさんに、お話をうかがった。 松﨑さんは21歳のとき、いわき市から喜多方市に帰ってきて起業。10年ほどは農家などの御用聞きの仕事を受けていたが、そのうちある農家から「うちでつくった豆を買って、街で売ってくれないか」という依頼を受けたそうだ。「最初は500円で買って問屋さんに売っていたのですが、ある年に相場が3さまざまな企業とコラボ働く広場 2022.2株式会社オクヤピーナッツジャパン代表取締役の松﨑健太郎さん本部長の上野雄市さん地域の社会資源とコラボし、農業・産業の活性化に貢献企業と福祉、特別支援学校が一同に会する、会津地区障害者雇用連絡協議会「連携型6次化」でさらなる障害者雇用の発展へ123POINT21

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