働く広場2022年2月号
27/36

くっておくことで、早期の離職リスクが減り、結果、障害者の戦力化につながるということだ。まさに実習はお互いを見きわめる時間であり、マッチングの精度を上げるもので、有効に活用をしていただきたい。また、実習を通して受入れの不安の軽減や、体制を整えている点も見逃せないポイントである。採用後は適性を見ながら「小さな階段」をつくり着実に仕事の幅を広げている。戦力化していくためには時間が必要であるが、ていねいに進めることで障害当事者の自信を高めることになる。 また、オクヤピーナッツジャパンの取組みは、地方モデルとして横展開できるのではないかと思われること。特に『連携型6次化』は、社会資源が少ない地域において、横軸で手をつなぎ、みんなで地域を底上げしていく仕組みといえる。そしてそれを実現するには、地域のなかのキーパーソンの存在が何より重要だと感じさせられた。 地域を愛し、地域を発展させるために、一企業が特別支援学校や福祉事業所、異業種とのつながりのなかから障害者雇用を始め、そこで終わるのではなく、地域で彼らを支えていく仕組みまで考え、さらに横軸を広げている。3年後の『ピーナッツ村』がどのような姿になっているのか、とても楽しみである。害のある方たちが管理する畑があって、ピーナッツ工場で焙煎の様子を見ることができます。その横にカフェと加工場を併設し、障害者雇用を進めながら観光客にも楽しんでもらえる施設を計画しています。私たちだけでは実現できませんので、地域の企業や県・市町村、学校、農家さんたちとともに運営していくイメージです。10年、20年の長い目で見て、『障害のある方たちの両親が亡くなった後に、どう自立して生活していくか』という課題にも取り組んでいくつもりです」 連携型6次化において、障害者雇用のみならず障害者のこの先の人生まで考えている。そして障害者雇用に関しても、ピーナッツ村を通して、さらなるビジョンを思い描いている。「弊社はいま、11人の小さな会社ですから、そこまで障害者雇用を増やすことはできません。しかし、企業や福祉事業所から相談を受けることもあり、『この企業とマッチングできるのではないか』と提案し、採用に至ることも増えてきました。ピーナッツ村が実現できれば、弊社も障害者雇用をさらに進められるのではないかと考えています」 障害者と企業を知る松﨑さんだからこそ、できるマッチングである。 今回の取材であらためて感じたのは、採用前の実習でお互いを知る機会をつ「5年くらい前から殻剥きの作業をさせていただいています。その後、声をかけていただき、3年前から畑の仕事も任せていただくようになりました」ーー畑には毎日来られているのでしょうか?「はい。天気のよい日は毎日、1チーム4人で2チームが来ています。春の種まきから夏の除草作業、秋の収穫までがシーズンです。メンバーは知的障害のある方がほとんどです」ーーこの作業を始めてから、何か変化はありましたか?「それまでは事業所内での作業が多かったので、外に出ることで、みなさんイキイキと作業をするようになりました。普段は見られないような一面も、見せてくれるようになりました」ーー今後の展望はありますか?「いま、畑に来ているメンバーは、こういった仕事ができる方ばかりなのですが、事業所に残っているメンバーたちもたずさわれる仕事を見つけていきたいです」 最後に、松﨑さんに会社の目標をうかがった。「3年後には『ピーナッツ村』をつくりたいと考えています。大きな敷地内に障「ピーナッツ村」を実現しより地域を盛り上げたい働く広場 2022.2引き抜いた落花生を脱だっ莢きょう機に投入する就労継続支援B型事業所「ドリームハウス富夢富夢」の支援員、安倍浩明さん25

元のページ  ../index.html#27

このブックを見る