働く広場2022年2月号
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編集委員のひとことミニコラム第10回企業文化に気づきを与える人たちNPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク副理事・統括施設長 金塚たかし※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は金塚委員が執筆しています。 ご一読ください。香川東京2021年度地方アビリンピック開催予定東京都、香川県*部門ごとに開催地・日時が分かれて いる県もあります*  は開催終了2022年 2月地方アビリンピック検索※新型コロナウイルス感染症の影響により、変更する場合があります。働く広場 2022.2場面での行動や質問、返事などに対応できる。頻繁に使用するカードのために「お気に入り登録機能」や「マイリスト機能」を備え、オフラインでも使える。アプリ「コミュニケーションカード」は、AppStore、またはGooglePlayよりダウンロードできる。 産業医科大学教授の森もり晃こう爾じさんと、大阪市立大学教授の井いの上うえ幸こう紀きさんが『おとなの発達障がいマネジメントハンドブック』(労働調査会刊)を出版した。発達障害のある就労者の事例性(業務のなかで実際に起こる問題)を中心に、診断の有無にかかわらず「職場でどんな困りごとが生じているか」に焦点をあてた配慮と連携のあり方を紹介している。B5判、120ページ、1100円(税込)。 コロナ禍において在宅ワークが一躍注目を浴び、セミナーなどで在宅ワークの事例が紹介されることが多くなった。時代に合った一つの働き方であると考えるが、障害者と企業にとって最適な労働環境であるわけではない。 障害のある方の就労支援(働き続ける支援)を行う立場で思うのは、当事者が職場で戦力化していくプロセスのなかで、企業側が気づきを得て経営、運営に変化を与えることが障害者就労の価値の一つであるということ。 ある企業の社長は「障害者を雇用したから、いまの会社があります」と威風堂々、講演会の冒頭で話をされていた。 同社では以前、採用した精神障害者がミスをして会社の信用を失墜させる事件が起きた。リストラも考えたが悩んだ結果、雇用を継続。今回のミスは障害者だからではなく、健常者でもミスをする可能性があり、障害者の雇用を継続するうえで社長の考えに変化をもたらした。「従業員の個の能力」から「仕組み」そして「チーム」へと視点が変化していく。キーパーソンが障害当事者を戦力化していくプロセスから気づきを得て、チームに、組織全体に好影響を与えた。 ほかにも「精神疾患のことをオープンに話せるようになった」や「適材適所の見直しを行った」、「リーダーのマネジメント力」、「コミュニケーション力」など。これらは従業員の育成や職場環境に好影響を与えることになる。これはまさに障害のある人たちと一緒に汗をかいて働いているからこそ得られるものであり、支援者である私たちも企業とともに、障害者を戦力化していくプロセスから得られる法定雇用率以外の価値を目ざしていきたい。本紹介『おとなの発達障がいマネジメントハンドブック』31

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