働く広場2022年3月号
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働く広場 2022.3うだ。事業所の関係者は「アビリンピックの経験が大きな自信になり、驚くほど積極的になりました」と語る。競技後、春山さんにうまくできたかとたずねると、大きくうなずいていた。関係者は「コロナが落ち着いたら、多くの企業の方たちにも、アビリンピックで多様な技能を発揮する選手たちを直接見てもらいたいですね」と語っていた。 「ビルクリーニング」(10分)の競技課題は、16㎡(4m×4m)の模擬事務所において、挨拶からゴミ箱の処理、床面の掃き・拭き、机上拭きなどクリーニング業務の基本作業を行う。升ます本もと光ひかるさん(鳥取県)は、ビルクリーニング会社に勤務。アビリンピックには特別支援学校時代から挑戦し、初の全国大会だ。出場が決まってから週3回、勤務後に本社で指導を受けたそうだ。競技を見守った母親は「落ち着いて取り組んでいました。この成長ぶりに、とてもよい経験をさせてもらったと感じます」と語り、升本さんも「いつも通りにできました。練習の結果です」と充実した表情だった。 「パソコン組立」(4時間)の競技内容は、組立て済みのデスクトップ型パソコンのパーツを分解し、メンテナンス作業をしてから再び組み立て、OS(ウィンドウズ10)のインストールや設定を行う。2み合わせ方などにセンスが問われる。同行していた選手の父親によると、事業所では、かご製作のほか、委託業務として加工工場で果物を切る作業なども行っているそうだ。「親の私は、包丁も怖くて持たせられませんでしたが、作業所の方がどんどん挑戦させてくれて成長しました。かご製作も、むずかしくて無理だと思っていましたが、こんなにできるようになって驚いています」と笑顔で話していた。●オフィスアシスタント/ ビルクリーニング/パソコン組立 「オフィスアシスタント」(30分)の競技課題は、書類などの準備・封入と社内便の仕分け。春はる山やま理り砂ささん(島根県)は、就労継続支援B型事業所に通っていたころに製品パッキング種目で全国大会に出場し、翌年、食品加工会社に就職したそ回目の全国大会となった島しま田だ静しず香かさん(北海道)は、パソコン教室での講師やデータ入力の仕事などをしている。競技前に「前回はウィンドウズ10の新しい仕様に慣れていなくて、ケアレスミスも多かったのが反省点。今回は、インターネットで技術的な情報を集めて練習してきました」と、意気込みを話してくれた。●パソコンデータ入力/ DTP/データベース 知的障害のある人が対象の「パソコンデータ入力」(計90分)は、アンケートの入力、ワープロ文書の修正、帳票の作成の3課題を、各30分以内に行う。森もり田た博ひろ一いち郎ろうさん(愛媛県)は、これまで別種目も含め何回も全国大会に出場。いまは薬局関連の会社で棚卸業務などに従事しており、プライベートも充実させている。今大会の前週に開催された愛媛駅伝(第二部)にも出場し、区間賞を記録したそうだ。競技後「パソコンが好きなので、これを仕事にできるよう努力を続けたいです」と話してくれた。 「DTP」(3時間)の今回の競技課題は、選手が所属する各都道府県の「知られざる観光スポット」の紹介リーフレット制作。選手が事前に用意した写真データやイラストを使い、自由に企画・デザ「オフィスアシスタント」春山理砂さん(島根県)「ビルクリーニング」升本光さん(鳥取県)「パソコン組立」島田静香さん(北海道)「パソコンデータ入力」森田博一郎さん(愛媛県)9

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