働く広場2022年3月号
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の統一化を図るのにも役立ちました。 その後の緊急事態宣言下では、就業生活リズム保持のために自宅待機中心ではなく出勤することとし、出勤体制に工夫をしました。当初は午前と午後の交代勤務なども試みましたが、午前勤務と午後勤務ではリズムが変わるため、うまく管理できず、最終的には週3日のシフト勤務としました。この結果、出勤しない社員が毎日確実に発生するため、それら不在者の仕事をカバーする必要があり、これに対応することで、一人ひとりの仕事の幅が広がったと感じています。また、障害のある社員にとって、会社に出勤し、人とコミュニケーションを取ること自体がストレスの軽減につながっていることも実感しました。松爲 ありがとうございます。障害のある社員にとって、在宅勤務をすることのメリットがある一方で、出社することにも意味がありそうだと感じました。 では、次に支援機関の現状を、社会福祉法人実のりの会の古川さんにお話しいただきたいと思います。古川 実のりの会の古川です。私たちは、2000年に中小企業家同友会の有志で立ち上がった法人で、2003年に千葉県八千代市で、知的障害者通所授産施設ビック・ハートを開設して以来、知的障害者の就労に特化した支援を行っています。現在、ビック・ハートでは、就労継続支援B型事業所としてリネン類のクリーニングなどの仕事を行っています。また、千葉県の松戸市で、ハートウィルという就労移行支援事業所を、柏市と松戸市で、それぞれビック・ハート柏、ビック・ハート松戸という障害者かなりの混乱がありました。企業見学や実習といった取組みが行えなくなったのもつらい状況でした。 障害者就業・生活支援センターでは、緊急事態宣言中は、すべての職員が在宅勤務となりました。在宅勤務中は、約2000人の利用者に対して電話連絡を行い、緊急性のある方に面談を実施するなどの支援にあたりました。重度知的障害のある方が、企業から課題も出ない長期の自宅待機をされていたり、出社しても、密を避けるためにほぼ休憩時間とされていたりする状況も見られました。また、交流活動などの機会も減ってしまいましたが、一方で、オンラインによる意見交換の場には、企業などの参加者が増えています。その点では、コロナ禍によるオンライン化のメリットも感じています。古川 出社しての勤務と在宅勤務について、一概にどちらがよいかとはいいづらいと思っています。例えば、当法人の支援の対象である就業・生活支援センターを運営しています。本日は、当法人の就労移行支援事業所と障害者就業・生活支援センターのコロナ禍における状況をお伝えしていきます。 コロナ禍は、就労移行支援などにとっても、厳しい状況がありました。2020年4月の緊急事態宣言下では、まずは、公共の乗り物を使わずに徒歩や自転車などで来所いただける方のみを通所で対応し、来所いただけない方については、在宅で、時間割に基づく運動や作業、家事などの課題に取り組んでいただきました。 緊急事態宣言の解除後は、感染対策を徹底しながら、午前と午後に分かれて、分散で通所していただきました。その後、全員が通所するようになったときにも、人が多い通学時間帯を避けるなど、感染のリスクを下げる工夫をしました。コロナワクチンの接種については、集団接種を実施することができた事業所もあれば、利用者個人で予約を取って接種しなければならなかった事業所もあり、希望者全員に対応できるようになるまで、支援機関におけるコロナ禍の影響出社と在宅勤務それぞれのメリット、働き方の選択肢を古川 亮さん働く広場 2022.325

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