働く広場2022年3月号
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知的障害のある方は、生活リズムを整えるためにも出社することを中心に考えた方がよいと感じます。一方で、精神障害や発達障害のある方のなかには、仕事に集中できるなど在宅勤務のメリットを感じていらっしゃる方もたくさんいます。そういった点から、今後は、在宅勤務にも対応できるような特別プログラムなどを用意し、働き方の選択肢を広げていくことが大切だと感じます。このような流れを後押しできるよう、支援機関として、企業の取組み事例などの情報を収集して、ほかの企業に紹介することなどにも力を入れていきたいと思います。松爲 ありがとうございます。企業も、支援機関も、ともに働き方の選択肢を広げることに言及されていますね。 では、次に、事前のアンケートで会場の参加者からいただいた質問に答えていきたいと思います。松爲 初めの質問は、①「在宅勤務について企業が懸念している点は何ですか」、②「コロナ禍での新しい業務の切り出し、進捗の管理、コミュニケーションの方法について、ご意見があったらお聞かせください」の2点です。雨宮 ︵①について︶当社では、最終消費者に購入いただく商品を直接触ることが多いので、在宅で作業する場合に、適切な品質管理ができるのかという点が、一番の懸念点です。その解決策が見いだせていないことも、当社で在宅勤務を取り入れていない理由の一つです。︵②について︶コミュニケーションに関して、当事者の方だけではなく、保護者や支援者の方とも密に連絡を取るようにしています。平岡 ︵①について︶在宅勤務をすることで、パートナーのモチベーションが下がってしまわないかということが一番の懸念点でした。モチベーションを保てるように、ていねいなコミュニケーションを取ることを心がけました。 ︵②について︶コロナ禍を経て、「変化に対応することの大切さ」をの方から一方向の連絡をするのではなく、チャットなどで、当事者の方からも発信ができ、様子をつかめるような体制づくりも必要になると思います。また、体調や通院の状況をしっかりと把握するためにも、支援機関によるサポートも上手に活用してほしいと思います。 ︵④について︶健康維持のための活動です。コロナ禍でもできる活動を取り入れていくことが大切だと思います。 ︵⑤について︶医療機関と支援機関の連携です。立場の違いを越えてしっかりと意見交換ができるような形になるのが望ましいと思います。松爲 精神障害のある人の症状の安定のためには、在宅勤務であっても、働くことを通じて生活リズムを安定させることが重要となりそうですね。 在宅勤務には、メリットとデメリットがあると思いますが、今後の障害のある人の働き方の可能性に、どのような展望を描いていますか。実感しています。パートナーには、これまでも新しい仕事にどんどんチャレンジしてもらってきましたが、コロナ禍では、さらにいろいろな仕事に対応していけるよう、業務の切り出しなどに工夫をしていくことが必要になりました。松爲 平岡さんのお話からは、コロナ禍を、新たな仕事をつくり出すチャンスに変えていく視点が感じられますね。一方で、雨宮さんのお話のように、現場にいないとできない仕事もあり、今後は、このような職務への対応方法についても課題になると感じました。 次の質問は③「在宅勤務が一般化したなかで、調子の波が出やすい精神障害者に対する就労環境をどのように整備していったらよいか」、④「コロナ禍において、精神障害者が就労前に身につけておいた方がよいこと」、⑤「精神障害にかかわる医療機関に求めること」について、古川さんにおうかがいしたいと思います。古川 ︵③について︶在宅勤務を導入する際にキーになるのが、コミュニケーションだと感じます。企業企業、当事者、支援機関ともに変化に対応する力が必要座公談開会「働く広場」「働く広場」働く広場 2022.326

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