働く広場2022年4月号
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働く広場 2022.4た。チェアマン(委員長)の佐さ久く間ま真しん一いちさんは、「私たち関係者が、保護者に電話をしたり支援機関に足を運んだりして理解を広げ、キャスト向けの説明会を何度も行いました」と話す。運営するホームページの文章はなるべくわかりやすい表現を使うほか、視覚障がいのある従業員向けには、読み上げ機能が使えるようワード文書を送信している。一方で組合員からの要望で多いのが従業員同士の交流で、映画や歌舞伎の鑑賞ツアーなどは大人気だ。トップセクレタリー(書記長)の森もり田た浩ひろ朗おさんは、「イベントでの充実感がそのまま仕事にも直結しているようです」と話す。佐久間さんは、「会社への要望活動も通常の組合と同様に行っています。特例子会社でつくる労働組合は珍しいため、よい前例になるよう試行錯誤していくつもりです」と語った。 会社側としても、従業員同士で少しでも横のつながりが持てるようにと、さまざまな情報発信や交流の場を設けている。2012年に始めた電子社内報「KGC(Keep Good Company!)」では、全社員が自分の自己紹介ページを持ち発信の場にしているほか、2020年からはキャスト4人もプロジェクトメンバーとして参加し、各部署の仕事や従業員を取材、紹介している。2017年から年4回発行している社内情報誌「NDネット」は、キャストの家族や支援機関も読者だ。会社の行事、各部署やキャストの紹介、健康や生活面に関する情報提供を行っている。年1回開催の「MCC(舞浜コーポレーション)フェス」は、従業員が自由に音楽などを披露する文化祭のような楽しいイベント。2016年からは年1回、社内ホールで「コンプライアンスフェスタ」も開催。テーマごとに担当チームが漫画や寸劇などで趣向を凝らした発表を行い、キャストたちから「楽しくてわかりやすい」と好評だ。 テーマパーク運営を支える裏方の現場も見学させてもらった。アトラクションで使われる3Dメガネの洗浄業務を担当するロケーションでは、使用済みの3Dメガネを大型機械で洗浄、1本ずつ人の目で検品作業もしている。「検品で多く見つけるのは、鼻あて部分についたファンデーションやフレームの小さな傷です」と説明するのは、特別支援学校から2018年に入社した長は谷せ部べ未み歩ほさん(22歳)。長谷部さんは2021年から業務拡張のチャレンジメンバーとして、検品のダブルチェックや洗浄関連のデータ入力を行っている。また、洗浄業務の最終確認も任せられている。「自分のペースでマニュアルを確認し、メモも取って何度も見返しています」と話す。「安全に仕事ができるよう、同僚が困っていそうなときは声かけをしています」と頼もしい一面も見せる。 テーマパーク内のレストランなどで使われている布ナプキンを折るロケーションもある。布ナプキンの折り方は、長方形にたたむものから王冠のように立てる形まで十数種類にのぼる。2002年入社の中なか島じま幸ゆき男おさん(49歳)は、商品サポート業務などを経験し、5年前から現ロケーションに配属されている。「折り方を覚えるのもたいへんでしたが、いまは折りながらゆがみを調整するのがむずかしいですね」と話す。実演してもらったところ、驚くほど鮮やかな手さばきだった。「見えないゲストの笑顔を想像しながら折っています」と話す中島さんは、1年前からロケーション内のリーダー職を務従業員同士の横のつながりレストランの布ナプキン折り裏方としてテーマパークを支える全社員が自分の自己紹介ページを持つ電子社内報の「KGC」(写真提供:株式会社舞浜コーポレーション)2018年に開催された「MCCフェス」の様子(写真提供:株式会社舞浜コーポレーション)社内情報誌「NDネット」は、キャストの家族にも好評だという労働組合チェアマンの佐久間真一さん(左)、トップセクレタリーの森田浩朗さん8

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