働く広場2022年4月号
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 今回見学した1年生の授業は非常に興味深いものだった。デジタルツールを使った「あなたの将来アンケート」だ。先生が考えた質問に対して生徒はタブレット端末を使用して回答していく。 例えば、「あなたは、将来の夢や目標がありますか」という質問に対して、「はい・いいえ・わからない」などの選択肢で回答をしていく。全員がすべての質問への回答を終えると、前方スクリーンには生徒たちが回答した結果がカラフルな円グラフとなって現れた。 円グラフの結果を見ながら生徒たちと対話をする。「あなたは、将来の夢や目標がありますか」の回答を見ながら、先生はざっくばらんに「先生もみんなくらいのときは、まだ何になりたいか夢ははっきりしてなかったぞ」といいながらも、「夢や目標を持つことは大事だから、これから一緒に考えていこう」と生徒たちに投げかけた。 ここでは、どの回答を選んだ生徒に対しても、肯定的にとらえ、伝えるようにすることが重要だという。高校1年生のこの段階では、夢や目標が「まだない・わからない」という回答でもよく、生徒たちのありのままの現状を知るということが大事なのだ。 ほかに、「あなたは、将来どんな暮らしがしたいか決まっていますか」の質問については、「自分は将来絶対一人暮らし点、商品総数は2万2千点を超える。ものすごい数だ。陳列されている棚から、書類に書かれた指定の商品を揃え、上司役の先生へ確認依頼をする。 緊張感のあるなかでの生徒の真剣な表情は印象的で、「自分たちは、いま仕事をしているのだ」という誇りも感じる場であった。学校の授業という域を越え、会社のオフィスがそこにはあった。「検品作業を通して、仕事の正確性やスピードを身につけたり、仕事の段取り、優先順位や臨機応変な対応を身につけたりすることで、幅広い職種でそのスキルを活かすことができる」と、関先生はいう。 あいにくのお天気だったが、取材した日は地域の小学生向けに生徒たちが授業を行い、育てたねぎを一緒に収穫するという日だった。 生徒がねぎの育て方などを説明し、小学生たちは興味深く聞き入っている。その後、実際の収穫作業が行われた。 農業高校を卒業した専任の先生の指導により、生徒たちの野菜は立派に育っていた。トマトやトウモロコシ、白菜など季節に合わせたさまざまな種類の野菜をつくるそうで、地域で販売されたり、飲食店で実際に調理されメニューに使われたりしているそうだ。 次に訪問した岩沼高等学園では、体育館にて3年生の芸術鑑賞の授業を見学した。和太鼓のパフォーマンスに生徒たちからは驚きや笑いの歓声があがり、心を躍らせていた。和太鼓の演奏体験もあり、演奏家のみなさんと楽しそうに交流する姿もあった。生徒たちにとって貴重な時間となっているようだった。本授業は、文化芸術による子供育成総合事業として、定期的に地域の芸術家のみなさんをお呼びして、交流をしているそうだ。 地域のみなさんに学校の活動を理解いただき、開かれた教育現場をつくることは、生徒たちに多くの経験を運び、世界を拡げる非常に重要な機会となるとあらためて感じることができた。 岩沼高等学園には「PパスATH(※)」という取組みがある。〝10年後の自分を高校3年間かけてつくりあげる〞というものだ。「自分は将来どうなりたいのか」という目標を生徒たちが持つことは非常に大事だ。自分で決めた「なりたい姿」の目標があるからこそ、生徒たちはその目標に向かって努力・成長をすることができるのだと思う。地域の小学生とねぎの収穫岩沼高等学園の地域連携 デジタル授業で生徒たちも前のめり!働く広場 2022.4生徒が先生役となって小学生にねぎの育て方を説明する小学生が畑でねぎの収穫を行った宮城県立支援学校岩沼高等学園デジタルツールを活用して行われた「PATH」の授業※ PATH:planning alternative tomorrows with hopeの略。「こんなふうに生活していきたい」というビジョン、未来設計図22

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