働く広場2022年4月号
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働く広場 2022.4フィスに届いた書類を在宅勤務者の自宅に転送する業務や、オフィスの定期消毒業務など、コロナ禍ならではの仕事を獲得しています。一方で、出社して業務を行うことへの不安や、懇親会などの社員の交流機会が減少したことなどにより、「社員のモチベーション低下」という新たな問題に直面しました。 そのようななか、同社では障がいのある社員の一部がリモートワークに挑戦しました。対象となったのは、RPA(人の代わりに業務をこなしてくれる自動化ツール)の開発と運用にあたっている社員5人(全員が発達障がい者)のうち、比較的稼働が安定していて、技術力も高い2人です。指導員2人がリモートワークチームとして加わって伴走し、支援機関や家族と連携を取りながら、勤務時間や日数、業務量などを調整するなど、本人たちにストレスがかからないような配慮を心がけ進めていきました。「チームでやっていく」というスタンスを大事に 当機構では毎年、職業リハビリテーションに関する研究成果を周知するとともに、参加者相互の意見交換、経験交流を生み出すための機会として、「職業リハビリテーション研究・実践発表会」を開催しています。2021(令和3)年度は、経験交流と新型コロナウイルス感染症対策のバランスを考慮し、開催規模を縮小したうえでの現地開催と、動画等を障害者職業総合センター(NIVR)のホームページに掲載するハイブリッドの方式で開催しました。 今号では、株式会社ベネッセビジネスメイト人事総務部部長の原はら田だ昌まさ尚なお氏による特別講演「コロナ禍における変化とチャレンジ~障害者雇用の現場から考える~」の様子をダイジェストでお届けします。 教育や介護などの事業を手がけるベネッセグループの特例子会社として2005(平成17)年に設立された株式会社ベネッセビジネスメイトでは、現在、東京都と岡山県の全7拠点に372人の従業員が勤務しています。そのうち、167人が障がいのある社員(知的障がい者84人、精神障がい者23人、発達障がい者37人、身体障がい者23人)です。オフィスの清掃やメール室業務などの「ファシリティサービス」や事務などの「業務サポート」業務、マッサージルームや社員食堂などの「施設運営」業務をグループ各社から受託し、高品質なサービスを提供することで、親会社の事業に貢献しています。 新型コロナウイルス感染症の流行は、同社の事業にも大きな影響を与えました。2020年4月に発令された緊急事態宣言下では、感染予防の観点から、障がいのある社員は全員自宅待機としました。その間も続けなくてはならなかったメール室業務などについては、障がいのない社員が出勤することで継続しました。 業務面では、業務の受託先である親会社で出社が制限されたり、イベント関連が中止になったりしたことにより業務量が減少し、業績悪化にも苦しみました。そのため、2020年度は障がい者の新規採用を行わず、今いる社員の雇用を守っていくことに注力し、業務量の減少に対応するために、親会社に対して新たな業務の提案を積極的に行いました。結果として、オ株式会社ベネッセビジネスメイト 人事総務部部長 原田昌尚氏新型コロナウイルスの業務への影響特別講演の様子★本誌では通常「障害」と表記していますが、株式会社ベネッセビジネスメイト様の当日の資料にしたがって「障がい」としています★下記ホームページにて、特別講演の動画をご覧いただけます https://www.nivr.jeed.go.jp/vr/29kaisai/kouen.html 第29回職業リハビリテーション研究・実践発表会 Part1特別講演「コロナ禍における変化とチャレンジ〜障害者雇用の現場から考える〜」28

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