働く広場2022年4月号
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働く広場 2022.4業員情報シート』を作成します。NDGや各部署の担当者が、キャストと定期的に個人面談を行い、ヒアリングした情報を通勤・体調管理・就業環境・生活環境といった項目別に整理し、職場での合理的配慮や業務上の支援に反映させています」ソーシャル・スキルズ・トレーニング(SST)にも力を入れる。一部を紹介する。【ステップバイステップ形式(小さなステップをふみながらロールプレイングを行い、フィードバックで行動強化)】 ●挨拶の苦手なキャストが、目は見なくとも相手の方を見ながら顔を上げて挨拶できるようになった ●マナー行動がむずかしいキャストが、エレベーターで「お先にどうぞ」と伝え行動するようになった【問題解決技法形式(個人的な悩みの解決策を参加者で出し合う)】 ●スマートフォンでアプリを見すぎて時間を無駄にするとの悩みに、「不要なアプリを削除してみては」という意見を取り入れ、睡眠を確保できるようになった ●集団での会話がうまくなりたいとの悩みに、「一人ずつ仲よくなる」、「相あい槌づちや頷うなずきをする」などの意見から、まず表情を合わせることを意識するようになった支援が必要な場合は外部の支援機関にも積極的に協力を仰いでいる。総務部マネージャーの岡おか部べ元もと暁あきさんが話す。「社内の支援はあくまで業務に関する範囲内なので、特にプライベートな課題は、障害者就業・生活支援センターなどと連携しています。日ごろからの、情報交換を含めた関係づくりも大事です」2021年には、これまでの支援内容を百数十の事例にまとめた「ジョブサポートマニュアル」を作成。NDG主任の小こ林ばやし薫くん平ぺいさんは、「蓄積されてきた支援ノウハウを、現場でも日常的に共有できるようにしています」と話す。このほか災害時などに備え、スマートフォンなどで従業員の安否を会社が把握できる確認システムを導入したほか、通勤途中にも救助を受けやすいよう必要情報を記入できる「SOSカード」を全員に配付している。親会社とも毎週、定例会議を開催し、支援状況や採用計画など幅広く情報交換しながら連携し合う。障がいのある人を雇用しているグループ会社から随時、個別の相談を受けたり、新入社員研修や管理者向けセミナーなどを開催したりするなかで、舞浜コーポレーションならではのノウハウを伝授しているそうだ。 現場でキャストを支援する立場として、社内には企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)18人、障害者職業生活相談員97人のほか、精神保健福祉士2人、社会福祉士8人、社会福祉主事任用資格4人、産業カウンセラー3人がいる。入社後に資格を取得しているケースが大半だという。土台となるのは、障がい者雇用に関する「専門性向上研修」だ。この研修により目ざすのは、「社内外の関係者との適切な調整のもと、キャストの職場定着を促進できる人財」となる管理者の育成だ。研修ではまず入社後3カ月~半年の間に、障がい者にかかわる法律や知識の座学、社内ロケーション(部署)の職場体験トレーニングなどを行う。並行して入社後3年目までに県内の特別支援学校と障害者就業・生活支援センターの計6カ所を見学し、その後は障害者就業・生活支援センターなどが主催する地域の意見交換会などに参加。社内では定期的なミーティングで、現場での声かけから面談での聴き方まで、さまざまな悩みや工夫について意見交換を続けている。この研修を受けて、さらに障害者職業生活相談員の資格も取得した、リゾートオペレーション部の加か藤とう絵え美みさん(35歳)に話を聞いた。加藤さんは6歳のときに発症した若年性関節リウマチが進行し、管理者の「専門性向上研修」加藤さんは担当業務のほか、従業員からの相談窓口も務める総務部マネージャーの岡部元暁さんノーマライゼーション推進グループの小林薫平さんリゾートオペレーション部の加藤絵美さん6

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