働く広場2022年5月号
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働く広場 2022.5因で離職し、障害者就業・生活支援センターを経由して入社した。「職場の雰囲気がとてもよいです。担当している鈑金加工も、次の工程で組み立てられて重機の一部になっていくのがわかり、ものづくりを実感できます」と語る。業務内容を覚えるのが得意ではなく体で覚えるよう努力したそうだが、「いまは逆に仕事に慣れてきたので、作業で妥協しないよう、初心を忘れないようにしたいです」と気を引き締める。木村さんが日ごろから「仕事で気を配ってくれたり、ちょっとした体調の変化にも気づいてくれたりして、何でも相談できる人です」と頼りにしているのが、現場でアドバイザーを務める佐さ々さ木き一かず照てるさん(64歳)だ。佐々木さんは、木村さんについて「もともと真面目な性格ですが、2年前に副主任という役職がついてからは責任感も出てきました。ほかの同僚を助けたり、面倒な下準備作業も率先してやってくれたりしています。難易度の高いことにもどんどん挑戦してもらっています」と期待を寄せる。別棟にある溶接現場も訪ねた。ここで作業していた鶴つる田た恭きょう平へいさん(21歳)は、養護学校時代に実習を2回経験し、2019年に入社した。もともと趣味で溶接を含めたバイク修理をしているという経験も買われたようだ。苦労したことを聞くと「数字が入っている予定表などを覚えるのが不得意なので、まずは自分が担当する品番だけを覚え込んでいます」とのこと。心がけていることをたずねると、「溶接忘れと不良をなくすことです。細かい部分までしっかりチェックしています」と話してくれた。 2020年入社の牟む田た誠せい太た郎ろうさん(24歳)は、仕上げ工程の納品検査を担当している。部品の溶接もれがないか確認し、バリと呼ばれる突起物があれば、削り作業も行う。この日も牟田さんは、手のひらで傷などを確認しながら、グラインダーという削り器具でなめらかな面に仕上げていた。牟田さんは短大卒業後に発達障がいを診断され、就労移行支援事業所に通った。短大での溶接経験を活かし「実習で自信がつき、前向きになれた」という。入社当初は製品の型番を覚えることや、仕上げの合格ラインの見極めに苦労したが、失敗を経験するなかで判断基準を覚えたそうだ。「たまに別部署を手伝う機会もあり、それによって自信がつきました」と笑顔で話す。同じ職場の吉よし㟢ざき昌まさ弘ひろさんは、牟田さんについて「最初は、仕事の流れをつかむまで苦労したかもしれませんが、いまは検査だけでなく商品の梱包や納品書の作成も担当してもらっています。また、ほかの作業にも協力的にかかわってくれています。大事な戦力です」と語る。2人の上司で主任を務めるカンボジア人のサッ・ウェットさんは、同じカンボダイバーシティでチームワークアーク溶接で製品を組み立てる鶴田さんグラインダーを使い製品をなめらかに仕上げる牟田さんアドバイザーを務める佐々木一照さん溶接を担当する鶴田恭平さん8

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