働く広場2022年5月号
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 特例子会社であるアビリティワークスは、「障がいのある人が持つ能力(アビリティ)を、仕事で発揮する(ワークス)」をその企業理念としている。親会社であるMS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社は、「ダイバーシティ&インクルージョン」の理念を推進する国際的なリーダーとしても活躍する大企業である。例えば、女性管理職人数をみると、前年比+7・7%(2019〜2020年)で、グローバル人財比率は22・2%という実績を示している。グループ全体の障がい者数は893人で、障がい者雇用率は2・55%(2022年1月現在)であり、法定雇用率をクリアしている。アビリティワークス設立前の2017年時点におけるグループ全体の障がい者雇用率は2・39%だったという。 また同社設立前は、精神および知的障がい者の「雇用例」はあったものの、「雇用管理体制が十分ではなかった」ことと、障がいのある従業員の「能力が十分に発揮されていない」という課題に直面していたという。さらに「大都市圏では、働く意欲と能力のある身体障がい者はすでに雇用」されているという雇用市場の状況下で、アビリティワークスは、まだまだ全体的に雇用実績が少ない精神長をされていた山やま下した美み穂ほさん、マネージャーで精神保健福祉士の郭かく侑ゆう美みさん、マネージャーで社会福祉士の佐さ々さ木き紗さ里りさん、そして従業員の方々(飛とび松まつ潤じゅんさん、蓮はす田だ伸のぶ樹きさん、岩いわ﨑さき廉きよ嗣しさん、小こ針ばり奈な々なさん)を含む計13人から、バレンタインデーにたいへん貴重なお話をうかがうことができた。 コロナ禍と腰痛のため、一時はオンライン取材も検討させていただいたが、やはり直接お会いしてお話をうかがうことができてよかったと思う。今回の取材は、私が勤務する筑波大学リハビリテーション科学学位プログラムの社会人大学院生である山やま口ぐち綾あや子こさんから紹介をいただいて実現した。精神保健福祉士である山口さんは、少し前までアビリティワークスのシニアマネージャーとして勤務されていたため、事業部長の成田さんをご紹介いただくことができた。人のつながりには本当に感謝したい。 この2年間のほとんどをテレワークで過ごした私にとって、東京都中央区新川(地下鉄日比谷線八丁堀駅から徒歩5分)にあるこの会社に赴くというだけでも刺激的な一日となった。私自身は都内の郊外(ときどき狸が道を通るような場所)に住んでいるため、大都会にあるピカピカの一流企業というだけでも緊張してしまうのだが、取材に際して多くの方々に助けていただいた。感謝したい。 MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社の特例子会社であるMS&ADアビリティワークス株式会社(以下、「アビリティワークス」)は、2018(平成30)年6月に設立された。2022(令和4)年1月現在、社員数47人のうち、障がいのある従業員は全体の68%に相当する32人(精神障がい30人と知的障がい2人)である。残りの社員の内訳は、本社グループの主要2社である三井住友海上火災保険株式会社とあいおいニッセイ同和損害保険株式会社からの出向者7人、そして障がい者雇用の知見のあるマネージャー8人である。 今回、私はアビリティワークス取締役社長の菅すが谷や圭けい子こさん、統括本部長の小お島じま元げん一いちさん、事業部長の成なり田た克かつ彦ひこさん、シニアマネージャーで職場適応援助者、産業カウンセラーの遠えん藤どう貴たか子こさん、健康管理推進室マネージャーで米国CCE.Inc認定GCDF-Japanキャリアカウンセラーの資格を持つ原はら田だ美み緒おさん、マネージャーで、以前は品川区の就労移行支援事業所はじめに会社概要働く広場 2022.5MS&ADアビリティワークスが入居するビル取締役社長の菅谷圭子さん★本誌では通常「障害」と表記しますが、MS&ADアビリティワークス株式会社様と八重田淳編集委員の希望により「障がい」としています精神障がいのある従業員の能力を、仕事で発揮できる場を目ざすFC(フェローカウンセリング)の面談や声かけなどによる、「自然な」雇用管理個人の特性に応じた仕事ツールを活用し、職場定着につなげる123POINT21

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