働く広場2022年5月号
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る。FC担当者と障がいのある社員のコミュニケーションツールである電子日報を使って、日々の体調報告をオンラインで行い、相互把握できるよう工夫をしている。さらに、定期的な面談で、合理的配慮事項が本当に共有できているか、齟そ齬ごはないか、新たな配慮は必要かなどについて確認し、入社時に把握した合理的配慮事項を最低年一回は更新することで、雇用管理につなげている。また、月一回は「定着支援面談」を実施しており、現在までの3年間で離職者ゼロという実績を残している。特に大切だと感じたのは、定期的な面談のほかに実施されるタイムリーな即時対応体制である。日々の困りごと、悩み、つまずき、働きづらさ、体調管理の不足などの事態を未然に防ぐための見守りと声かけを常に行っており、必要に応じて面談を即時に提供している。こうした日々の小さな積み重ねが「自然に」行われていることが、精神障がいのある従業員にとって、とても大切であると感じた。こうした見守り行動がやがて同僚であるピアに広がり、ピアによるナチュラルサポートがそれこそ「自然に」生成されていると感じた。飛とび松まつ潤じゅんさん(39歳)は、管理部のサブリーダーとして、代理店移管書類のPD(2)システム打鍵自動化ツールやワンクリックツールなどの「ツール開発業務」、(3)映像製作や映像配信を行う「映像業務」がある。例えば、映像配信業務としては、動画の企画・撮影・編集を実施し、グループ主催の「コンテスト」の映像を配信するといったものがあり、精神障がいのある従業員がその能力を見事に遺憾無く発揮している後ろ姿に見入ってしまう。こうした能力開発は入社後にも行われると思われるが、アビリティワークスの「人財」採用活動が非常にシステマティックだと感じた。 アビリティワークスの採用活動は、(1)就労移行支援事業所との連携による「説明会」、(2)実際の業務を想定した実習や面談・自己理解ワークを実施する「実習」、(3)自己理解度と人柄を含めた総合的な職業適性・職場との相性・合理的配慮事項を確認したうえでの「採用」、(4)新人研修プログラムとOJTの「研修」であり、これら4つのステップがきちんとしているからこそ、その後の職場定着につながっているのだと思う。 採用後はFC(フェローカウンセリング)の担当者が体調や気分の具合、業務状況、つまずきの有無などを自然体で聞いて、相談しやすい雰囲気をつくってい調がすぐれないとき、心身をリセットしたいとき、注意散漫になりそうなとき、シンプルに休みたいときは、いつでもだれでも使えるようになっている。ランチスペースも広く温かい雰囲気で、清潔感が漂う憩いの場となっている。現在の新しい職場には1年ほど前に移転したばかりだそうで、全体的に綺麗で洗練された明るい都会のオフィスそのものである。 アビリティワークスは事業部と管理部があり、事業部には専門知識と技能を活かした業務を担当する「デジタル戦略ユニット」、「映像関連制作ユニット」、「広報ユニット」と、グループ内の社員の出向の調整・支援や採用・人財育成を担当する「グループ会社支援室」と、保険代理店のホームページを点検する「代理店HP点検ユニット」があり、管理部にはおもに事務作業を担当する「総務ユニット」と、産業保健業務を担当する「健康管理推進室」がある。「広報ユニット」では、年2回の機関冊子『Semiannual Report』を作成し、アビリティワークスの概要、社員インタビュー、テレワークのトピックなど盛りだくさんの情報を取材され、それらを記事化し、センスある表紙とともに冊子デザインの作成をしておられる。今回の取材にあわせて、事前に3年間分の冊子を送ってくださり、たいへん助かった。 おもな受託業務としては、(1)書類PDF化やデータ入力などの「事務業務」、採用活動と職場定着実際の業務運営働く広場 2022.5作業に集中するために設けられた個室社内の一角が映像配信のための簡易スタジオとなっている飛松さんは書類のPDF化業務を担当している管理部サブリーダーの飛松潤さんランチスペースは休憩やミーティングなどにも利用できる横になって休むことができる休憩室23

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