働く広場2022年5月号
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働く広場 2022.51974(昭和49)年設立の「株式会社栄和産業」(以下、「栄和産業」)は、自動車の試作部品や建設機械部品などの加工・製作を手がける鈑金加工業として、県内外に13工場を展開している。2021(令和3)年6月1日現在、全従業員162人のうち、障がいのある従業員が15人(身体障がい1人、知的障がい11人、精神障がい3人)で、障がい者雇用率は10・41%にのぼる。このほか外国人従業員39人、65歳以上のシニア従業員10人と、幅広い人材構成が特徴である栄和産業は、多様性を活かして付加価値を生み出す取組みが評価され、経済産業省の令和元年度「新・ダイバーシティ経営企業100選」に選ばれている。2014(平成26)年から父・正まさ士しさんの跡を継いで代表取締役社長を務める伊い藤とう正まさ貴たかさんは「会社として障がい者雇用に取り組み始めたきっかけは、中途障がいのある社員が定年退職し、雇用率がゼロになったことでした。試行錯誤を経て、養護学校から職場実習生を受け入れたことで、大きくふみ出せました」と語る。栄和産業で身体障がいのある社員1人が定年退職し、障がい者雇用率がゼロになったのは、約10年前のこと。このとき伊藤さんたちはハローワークに相談し、紹介された障害者就業・生活支援センター経由で、精神障がいのある社員を採用することができたという。ところが「当時の私には、どこに障がいがあるのか、まったくわからないほど順調に働いていたように見えたのですが、約1年後、急に体調を崩して離職してしまいました。その後もなかなか採用できず、一度、障害者雇用納付金を納めることにもなりました」と伊藤さんはふり返る。そこで、障害者就業・生活支援センターなどから助言を受けて検討したのが、養護学校(特別支援学校)からの新卒採用だった。高卒採用のための学校関係者との情報交換会で、同席していた養護学校の先生に、在学生を対象とした職場実習の話をしたところ、「ものづくりの実習ができる場を探していたので助かります」と喜ばれ、すぐに職場の見学にも訪れたそうだ。そして2014年、1人の実習生を2週間受け入れてみることにした。伊藤さんは、「職場実習にかかわることは何でも障害者就業・生活支援センターの担当者に相談しましたが、作業をうまくこなせるだろうか、危なくないだろうかと不安は尽きなかった」そうだが、実習生がスムーズに働く様子を見て、驚いたという。「実習を始める前から、できないこと障がい者雇用率10%超養護学校の先生に声をかけて★本誌では通常「障害」と表記しますが、株式会社栄和産業様のご希望により「障がい」としています代表取締役社長の伊藤正貴さん株式会社栄和産業の本社工場職場実習は一度に2人まで、一人ひとりに合わせた柔軟な内容と期間で実施障がいの有無に関係なく、入社後は全工程を2週間ずつ経験後に配属決定入社後1年間は、「相談シート」や社長面談で個別にフォロー123POINT5

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