働く広場2022年6月号
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働く広場 2022.62008(平成20)年に設立された「株式会社JR東日本グリーンパートナーズ」(以下、「グリーンパートナーズ」)は、「東日本旅客鉄道株式会社」(以下、「JR東日本」)の特例子会社だ。これまで、JR東日本の社員が使用する2200種類もの制服を常時保管し、発送や使用済み制服の回収や分別を行う「制服管理事業」、JR東日本やグループ会社の名刺や氏名札、パンフレット、広報誌などの印刷や発送管理を行う「印刷サービス事業」などをになってきた。しかし、近年はJR東日本の業務改革や「持続可能な開発目標(SDGs)」への対応など、業務内容に変化が現れている。同社では、JR東日本の社員向けの事業だけではなく、お客さまなどが直接手にする商品の「ものづくり」に乗り出すなど、業務ニーズの変化に柔軟に対応している。知的障害などの障害のあるスタッフ22人が働くグリーンパートナーズ戸田事業所では、新幹線の「グランクラス」でご希望のお客さまに提供される「木のストロー」制作、クルーズトレイン「TトランRAIN SスイートUITE 四し季き島しま」で使用されるアメニティ用品の箱詰め作業などが行われている。だれもが同じ仕上がりにできることを目ざし、手づくりの道具や治じ具ぐ、マニュアルなどが活用されている。木のストローづくりを担当する須す釜がま康やす典のりさんは、ストローをまっすぐにカットするために、ハサミにL字型のアルミ板を両面テープで貼りつけ、目印をつけた道具を作成。「まっすぐ切れるんです」と名づけて活用し、品質向上に役立てている。また、木のストローを開発した東京都の住宅メーカーが作成した「専用マット」には、シートの置き方やカットする位置などが記載されており、つくり方が一目瞭然となっている。グリーンパートナーズでは、各事業所の所長や就労定着支援事業所の担当者が一堂に会する「就労支援機関連絡会」を毎月開催して情報交換を行うなど、スタッフの定着支援にも力を入れている。①間かん伐ばつ材ざいを鉋かんなで削った木材シートに、糊を均等に塗布する。須釜さんは「お客さまの手に渡ることを意識して、きれいにきちんと作業しています」と語る②糊付けしたシートを緩まないようにしっかりと力をかけながら心棒に巻き取る③端をテープで止め、自作した「まっすぐ切れるんです」を使ってストローの端をカットする須釜康典さん木のストロー作成16

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