働く広場2022年6月号
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【5W1H】いつ、だれが、どこで、何を、どうして、どのように コミュニケーションの基本はここから始まる。利用者が取り組むスタートラインのプログラムである。 精神・発達障害者の雇用は数字のうえでは拡大の一途をたどっている。金塚さんは、「私たちの支援の取組みは、就職がゴールではありません。今後は、働き続けることが大事になります。そのための支援を充実させたいです。これまでの実践から、基礎訓練のほか、『スタッフと利用者の信頼関係』、『企業実習』、『ジョブコーチの定着支援』が企業支援につながる―この3点が、長く働き続けるための支援の柱になります。就職後の企業での支援も大事で、利用者だった人との信頼関係を継続し、定着支援のスキルを持つジョブコーチが役割を発揮すればよいと思います」と、これからの取組みの方向づけについて話してくれた。 精神・発達障害者の就労支援は、「就職する」ビギニング・ステージから、「長く働く」セカンド・ステージへと進んでいる。り、次に支援に必要なノウハウを教え、課題克服を進めます。計画の見直しも大事です。利用者と支援員の一体感も欠かせません。就労支援にかかわる人材育成には3年は必要です」という。 SPISは利用者へのプログラムとして大きな効果をもたらすだけでなく、支援員、職場の担当者をつなぎ、双方に効果が出ている。 また、利用者へ向けた具体的な行動指針が、掲示板に貼り出されていた。【行動指針】あいさつはされるものではない。するものである。失敗は恐れるな。失敗は経験である。一歩踏み出す勇気。それが一番大事。【スキルを効果的に使うポイント】1視線2表情3姿勢4ジェスチャー5声の大きさ6声の調子と話の滑らかさ7話の内容や言い方の工夫 就労移行支援の最前線に立つJSN新大阪アネックス所長の橋本さんは、支援員、指導員への現場教育を重視する。いま取り組んでいる就労支援での人材育成のポイントについて聞くと、次のように答えてくれた。1.法人全体で人材育成としての新人研修を実施2.事業所で個別支援計画の作成にOJTを通して現場教育。支援対象者が働くために克服すべき課題を明確にする。そのために本人の特性の把握へ情報収集を医療、学校、相談所など幅広く徹底して行う。面談の仕方をみんなで議論しながら中身のあるものにしていくなど、個別支援計画を徹底し上司や先輩が新人や部下、後輩に計画策定の知識、技術を身につけさせる3.精神科医を招いてケースカンファレンス。精神障害、発達障害の行動特性、医療サイドの対応を学ぶ4.所長が指導員、支援員から個別に相談を受け、支援の質的向上へアドバイスをする「支援計画はきっちりしたものをつく長く働き続けるための支援へ利用者、支援員向けに二つの教育プログラムが必要働く広場 2022.6JSN副理事・統括施設長の金塚たかしさん。本誌編集委員も務める25

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