働く広場2022年6月号
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◇お問合せ先:研究企画部 企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.go.jp)働く広場 2022.65 おわりに 本調査研究では、「仕事をする理由」として、「収入を得るため」、「社会とのつながりを持つため」、「社会の中で役割を果たすため」、「自分自身が成長するため」、「生きがいや楽しみのため」、「生活のリズムを維持するため」、「心身の健康のため」の7項目を調査しています。第5期と第6期のデータからは、障害の種類による違いを考慮しても、比較的一貫して、仕事の満足度が高い者は、「社会の中で役割を果たすため」や「生きがいや楽しみのため」を「仕事をする理由」として選択している者に多いことがわかりました。  本人が選択した仕事をする理由が仕事の満足度とどのように関連しているか、この分析だけからいえることはまだ多くはありません。このため、さらに分析を深めていく必要があると考えています。  長期にわたり個人を追跡する研究方法は、欧米で1960年代後半から、日本でも1980年代後半から賃金、就業、家計などをテーマとしたさまざまな調査がありますが、障害者を対象とした就業に関する本調査研究は希まれな取組みであり注目されています。障害者職業総合センターのホームページで、ぜひご覧ください(28ページ★)。 2016年には改正障害者雇用促進法が施行され、差別禁止と合理的配慮が事業主の義務となりました。そこで、2016年の第5期調査以降は、「雇用分野における差別禁止・合理的配慮の指針」の把握状況や、指針に沿った職場で支障となっていることの確認や話合いの機会の状況を追加して調査しています。第5期調査と第6期調査の結果を比較することで、法制度の変化が、実際の障害者の職場にどのような影響を及ぼしているかをうかがうことができます。  「雇用分野における差別禁止・合理的配慮の指針」を把握していると回答した障害者の割合は29%から30%とあまり変化がありませんでした。  一方で、図2に示すように、指針に沿った合理的配慮の具体的な取組みの第一歩である、職場で支障となっていることの確認や話合いの機会は、「今までと同じように確認や話合いの機会があった」と「新たに確認や話合いの機会があった」ものを加えると、全体で39%から52%へと大きく増加し、「確認や話合いの機会はまだない」が39%から24%へと大きく減少していましたが、依然として約4人に1人は話合いの機会を持てていないことがわかりました。4 仕事をする理由と仕事の満足度の関係 3 差別禁止と合理的配慮指針の把握状況  と職場での話合いの機会の状況の変化 全障害(411人)視覚障害(44人)肢体不自由(79人)知的障害(114人)今までと同じように確認や話合いの機会があったよくわからない新たに確認や話合いの機会があった無回答確認や話合いの機会はまだない第5期第5期第5期第5期第6期第6期第6期第6期図2 職場で支障となっていることの確認や話合いの状況(第5期及び第6期ともに回答した者での比較)313043291038392350484731394287913581064920181461610313718117141018141544420114510%3641446724123627028244225103924181945聴覚障害(82人)内部障害(48人)精神障害(44人)第5期第5期第5期第6期第6期第6期29

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