働く広場2022年6月号
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働く広場 2022.6情報サービス事業などを手がける「株式会社DTS」(以下、「DTS」)は2011(平成23)年、特例子会社「株式会社DTSパレット」(以下、「DTSパレット」)を設立した。社名には「それぞれのカラーを活かし、新しいカラーを創り出すパレットのような会社を」との思いが込められているという。当初8人だった社員は、10年以上を経て55人まで増えた。うち障害のある社員が49人(身体障害17人、知的障害7人、精神障害25人)、親会社であるDTSとDTSパレットを合わせた障害者雇用率は2・44%(2022︿令和4﹀年2月28日現在)となっている。2019年から2022年3月まで代表取締役とDTSの総務部長を兼務していた齋さい藤とう健けんさん(現在、DTS総務部担当部長)は、「当初はメール便や備品交換、会議室の清掃業務などを担当していましたが、業務拡大に務めるなかで、高度で複雑な仕事もかなり増えました」と話す。いまではDTSから発注されるさまざまな印刷関連業務のほか、セキュリティシステムのメンテナンスや給与計算、ホームページ更新、動画編集など100以上の業務を手がけている。DTSパレットが会社説明会などで使う資料では、社員の障害種別を詳しく紹介している。例えば、内部障害として水頭症や脳性麻痺、ジストニア、免疫不全症候群、血友病、膠こう原げん病のほか、精神障害として双極性障害や広汎性発達障害、統合失調症、注意欠如・多動性障害、てんかんなどだ。定期的な通院が欠かせない社員も多く、設立当初から月2回までの通院休暇が取得できるよう制度化した。また免疫機能障害のある人の採用については、感染経路や病歴を質問しないことなどを徹底し、管理部門系の社員を集めて勉強会も開催。ここにはハローワークの雇用指導官と国立国際医療研究センター病院のコーディネーター(患者支援調整官)を招き、正しい理解をうながした。全社員の半数を超える知的障害や精神障害のある社員については、月1回以上の面談のほか、就労移行支援機関の担当者との情報交換を積極的に行っている。現場の取組みについては、順を追って説明していきたい。DTSパレットの本社は、DTS本社から徒歩で2分ほど離れたビル内にある。ここに入っている第一事業推進部では、DTSなどからの委託業務を中心に、各種の印刷から文書データ化などのPCオペレーション、パソコン廃棄・データ情報サービス関連企業の特例子会社月2回の通院休暇や勉強会一人ひとりの能力開発を重視株式会社DTSパレットのオフィス個々にフォーカスした人材育成で多様な業務テレワーク導入で、社員のスキルアップもコロナ禍を機に、健康管理や相談体制を拡充123POINT代表取締役(取材時)、現在はDTS総務部担当部長の齋藤健さん5

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