働く広場2022年6月号
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働く広場 2022.6職場での会話で、大きく人生が変わったという社員もいる。2018年入社の山やま本もと拓たく海みさん(38歳)だ。「大学受験時に体調を崩し、それから12年ほど引きこもり状態でした」と明かす山本さんは、自宅で得たパソコン知識を活かし、就労支援団体の紹介で、パソコン教室の講師を週1回、半年間やり通した。その間に初めて自閉症スペクトラムの診断を受け、就労移行支援事業所に2年ほど通った後、DTSパレットに採用された。当初は第一事業推進部イノベーション課でデータ入力などの業務を担当していたが、いまはDTSのパソコン管理業務なども担当。昨年は、社員5人でDTSパレットのホームページのリニューアルも手がけた。「チームで仕事を進めるのは初めてでしたが、たいへんながらも、やりがいがありました」という山本さんは、「自分が、こんなに話せる人間になるとは思いませんでした」とふり返る。山本さんは、学生時代に自分から話しかけることはほぼなく、職場でも最初は相槌を打っているだけだったという。「上司が昼休みに私のところにきて雑談するようになってから、会話に慣れていきました。素の部分を出すようになると周囲から話しかけられ、自分も話せるようになりました。いまは自宅よりも職場のほうが居心地がいいです」最近は、得意の「整理整とん術」も発揮している。「物やデータの整理が苦手な人もいて業務に影響を及ぼすので、『この部分を整理したらもっとよくなります』と提案しています。みなさんも快く協力してくれて、業務の流れがずいぶんスムーズになりました」という山本さんは、「自分なりのスキルを活かして職場改善に貢献していけたらいいなと思います」と語ってくれた。 DTS本社内にあるサテライトオフィスで働く社員にも話を聞いた。第二事業推進部ビジネスサポート課の二にの宮みや一いっ起きさん(30歳)は、DTSパレット設立時に入社。高校卒業後いったん職業訓練校でパソコンスキルや簿記などを学び、ハローワークの合同面接会を経て採用された。職場ではおもにメール便の仕分けや配達、郵送準備などを担当している。各部署の郵便料金を集計するなど複雑な内容もあり、仕事の手順を覚えるのに苦労したが、メモを取るなどして乗り越えてきた。いまでは後輩に仕事を教える立場で、「少しでもわかりやすく伝えられるよう工夫しています。今後は、チームを引っ張っていける存在になりたいです」と話してくれた。また、鉄道ファンとしてつちかったカメラの腕前を活かし、社員証の写真撮影や登録作業も担当しているそうだ。2014年に入社した第二事業推進部BPOサービス課の吉よし野の浩こう一いちさん(41歳)は、以前はビル清掃会社のアルバイトとして10年ほど働いていたという。30歳を過ぎて「正社員になりたい」と思い立ち、地元の就労移行支援事業所を経てDTSパレットに採用された。入社後は、印刷物の検品などを担当していたが、3年前からはDTSの福利厚生関連の書類作成なども任されている。「必要に応じてエクセルやワードも自分で勉強していきました。少しずつ関数もわかるようになってきました」と手ごたえを語る。「むずかしい仕事ができるようになると楽しくなって、やりがいがあります。わからないことはすぐに上司に聞くようにして、うまくやれていると思います」と笑顔で話してくれた。2人のインタビューを見守っていた第清掃の仕事から事務系に社員証の写真撮影を行う二宮さん吉野さんは、福利厚生関連の書類作成も担当する第二事業推進部ビジネスサポート課の二宮一起さん第二事業推進部BPOサービス課の吉野浩一さん7

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