働く広場2022年7月号
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●スノーボードでパラ五輪出場を目ざす下し恵え里りさん(30歳)も、スノーボード種共有しながら、仕事の調整もしていくつもりです」と応援する。2021年入社の東京支店総務部の坂さ目でパラ五輪出場や「パラスノーボードの普及拡大」を目ざしているそうだ。以前はテレビ制作技術会社でカメラを担当していたが、4年前にバイク事故で左のひざ下を切断。半年の入院後、義足で職場復帰したものの、仕事を続けることに限界を感じ退社した。その後は事務職やコールセンターの顧客対応担当も経験したという。もともと運動が得意だった坂下さんは、事故の翌年からスノーボードに挑戦し、数年後には次世代育成選手に選出された。本格的に競技に取り組むためにも「練習や遠征がしやすい就労環境を」と、障害者雇用専門のエージェントを通じパラ五輪のスポンサーでもあった清水建設に出会ったという。義足を使っていることから、入社時に会社に確認したうえで、スニーカーで通勤している。職場では、現場事務所などの契約書チェックのほか、支払い調書や課税書類などの取りまとめを担当している。ス(※)やCG、動画などをつくる部署だ。「最初は緊張していたのですが、周囲のみなさんが何かと声をかけてくださったのがありがたかったです。他部署との交流が活発で、風通しがよい職場だと感じています。いずれは自分が、下からも上からも頼られる存在になりたいと思っています」競技活動については、年次有給休暇を使って参加し、足りない場合は欠勤扱いになるが、競技と仕事の両立を図るためにも、現場の上司と相談しながら試行錯誤しているそうだ。先天性の上下肢障害のある渡わ邉な美み土ど里りさん(36歳)は、美術大学で建築系の空間デザイン全般を学び、建築事務所でアルバイトもしていた。デザイナーとして就職活動をしていたが、なかなか決まらず、障害者雇用専門のエージェントを介して清水建設に2009年に入社したという。渡邉さんが配属されている本社設計本部デジタルデザインセンターのデジタルソリューショングループは、建物のパーここで腕を磨いてきた渡邉さんは2015年、国際建築パースコンテスト「アーキテクチャー・イン・パースペクティブ(AIP)」において、日本人初の最優秀賞受賞という快挙を成しとげた。渡邉さんを入社時から指導してきたデジタルデザインセンター長の上う田だ淳じさんは、「当初はCG製作も未経験でしたが、ガッツのあるタイプで、どんどん技量を上げながら仕事の領域を広げていきました」とふり返る。渡邉さんの快挙を社内報で伝えるとき、周囲からは「わざわざ障害があると書かなくてもいいのでは」という声があった。しかし渡邉さんは「ぜひ書いてほしい」といったそうだ。「障害を公表することで、障害のある従業員や障害者雇用に対する社内の意識もさらに変わるのではないかと考えたからです。私自身が就職活動に苦労したので、障害に関係なく力を発揮できることを知ってもらい、少しでも障害の垣根を低くしたいと思いました」実際に渡邉さんは社内外で一気に注目され、「ぜひ世界一の人に」と製作を依頼してくる同僚も少なくない。最近は、積み上げてきた経験やノウハウを後輩たちに伝えるため、勉強会などを任されているそうだ。ゅん●国際コンテストで日本人初の快挙 たべたえ か8パースペクティブドローイング渡邉さんは、画像処理ソフトを駆使し、建築パースやCGなどを製作している※ パース:「perspective drawing(透視図)」の略。建物などを立体的に表現した図のこと設計本部デジタルデザインセンターの渡邉美土里さん契約書の確認作業を行う坂下さん東京支店総務部の坂下恵里さん

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