働く広場2022年7月号
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〈知的障害とは〉知的な発達に遅れがあり、意思疎通や日常的なことがらに支障が生じているため、援助が必要な状態のこ配慮が求められます。〈職場における配慮事項〉のあいまいないい方や抽象的な表現は避け、絵や図を活用したり、実際にやって見せて、次に本人が行い、理解を確かめるなど工夫することが的に理解できる方法で教えていくことです。知的な発達に遅れがあるといっても、すべての能力の発達が遅れているわけではありません。「話し言葉は理解できるが、文章の理解や表現が苦手」、「言葉による指示より視覚的な指示の方が理解しやすい」という人もいます。個人差があるので、知的レベルだけで職務遂行能力を判断せず、本人の特性に合わせた混乱を避けるために、指導担当者をはっきりとさせることが大切です。仕事を教えたり、指示をする際は、「あれ」、「それ」、「適当に」など効果的です。また、業務だけではなく、職場内や通勤時に必要な安全ルールなどについても、講義だけではなく、具体とも求められます。株式会社ハチカンでは、2022(令和4)年4月現在、知的障害のある社員が9人働いています。「知的障害のある社員には、おもに工場内で製造業務や清掃などを担当してもらっています。重い荷物を運搬したり、調理用の機械があったりと、一歩間違えると大きな事故につながる可能性があります。そのため、社員への安全教育は社内に設置した﹃安全教習所﹄で実施していますが、障害のある社員には、特別な配慮をして行っています」と業が      務部労務課の長な根ね浩ひさんは話します。安全教習所では、指差し確認の練習や適切な安全保護具着用についての教育などを行い、"機械への巻き込まれ"や"床での滑り"などの労働災害の擬ろし実作業に近い形で安全教育ができる﹁安全教習所﹂知的障害の特性と配慮するポイント事例◆事業内容 食料品の製造・加工および販売(調理冷凍食品、缶詰、びん詰、レトルト食品)◆従業員数 687人      (2022年4月1日現在) (青森県八戸市) 株式会社ハチカン これから障害者雇用に取り組もうとしているみなさまへの入門企画として、障害のある人が働きやすい職場環境を整えるために、どのようなことを行っていったらよいのか、取組み方法や事例を紹介します。第4回は、「知的障害のある人」が働きやすい職場づくりについてお伝えします。 販売業務のなかでレジスタ業務が行えるように支援する機器。「数が同じ」、「同じもの」という概念が理解できれば業務遂行できるよう設計されている 視覚的にわかりやすい60分タイマー。アナログ時計で時間を理解することがむずかしい人でも目で見て、残り時間がわかる働く広場 2022.7知的障害者のための就労支援機器の例● レジ業務支援システム ● 作業スケジュール管理支援機 絵や写真や文字などで次の行動を 示したカードをセットし、タイマー機能を組み合わせて、知的障害のある人が作業スケジュールを自己管理できるよう支援する機器● タイマー 第4回第4回知的障害10クローズクローズアップアップはじめてのはじめての障害者雇用Ⅱ障害者雇用Ⅱ〜障害のある人が働きやすい職場づくり〜〜障害のある人が働きやすい職場づくり〜

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