働く広場2022年7月号
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POINT123日本理化学工業株式会社は、チョーク製造の会社として創業85年を迎える老舗企業である。学校などで使われるチョークはもちろんだが、その事業は時代に合わせて変化、進化している。アートチョークと名づけられた色とりどりのチョーク。紅色や墨色など、新色のチョークによって、チョークの表現力が一気に広がり、アーティストたちにも好んで使われるような商品に成長した。ガラスなどに書いて消せる新商品「キットパス」も好調である。コロナ禍で、SNSで発信した「キットパスを使って自宅の窓に虹を描こう」キャンペーンが、ロックダウン中の海外に広がり、欧米などからも注文が一気に伸びた。変わっていないのは、1960(昭和用して以来、60年以上にわたり、多くの知的障害者を雇用し続けていることである。私は今回、10年ぶりに川崎工場を訪ねた。製造ラインで働く知的障害のある社員        おまかさたちは、手慣れた様子で作業に取り組んでいる。だれに指示されるでもなく、てきぱきと作業を進めている。声をかけ合う様子にチームワークのよさも感じる。どんどんチョークが製造され、どんどん箱詰めされていく。その働きぶりからは、10年前と同様に、ここで働く従業員たちに障害があることを忘れさせた。そして、変わらず掃除が行き届いている。さまざまな備品は整理整頓されている。生産目標などもしっかりと掲示されていた。「なぜこんなにも長きにわたり障害者雇用を続けてこられたのか」とたずねた。代表取締役社長の大お山や隆た久ひさんは、「一人ひとりが一生懸命働くことのできる環境づくり」と「生産効率と品質を高﹁知的障害のある社員が7割を占めるチョークの会社﹂日本理化学工業株式会社本社および川崎工場川崎工場では「キットパス」(左)や「アートチョーク」(右)などが製造されている代表取締役社長の大山隆久さんチョークの製造ライン。障害のある社員が作業に取り組む35)年に初めて2人の知的障害者を雇働く広場 2022.710年ぶりの訪問障害のある社員が長く働くための環境づくり生産効率と品質とを同時に高める取組みすべての人にとって働きやすい会社『共働態』を目ざす21

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