働く広場2022年7月号
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鳥と井い広ひ記きさんは、比較的新しい社員さらに竹内さんは、チョーク部門の班長の役割もになっている。班長の仕事は自分の担当業務だけではなく、ほかの工程にも不具合がないかを、きめ細かに見て回る必要がある。そして必要に応じて報・連・相していくという責任を負っている。の一人である。職業訓練校を経て2020(令和2)年に日本理化学工業へ入社した。入社2年目の現在は、チョークの製造工程のさまざまなポジションを経験し、技術を習得している最中である。取材にうかがったときは、チョークを適切な長さにカットする切断の工程を担当していた。入社後に始めた、昼休みに行う同僚とのキャッチボールをとても楽しみにしている。そんな鳥井さんだが、新型コロナワクチンを接種したあとの1週間は、「腕を痛めて仕事に支障が出てはいけない」という理由で、キャッチボールに加わらなかったそうだ。いまの目標は「健康に働くこと」だという。責任感を持ってコツコツと仕事に向き合う鳥井さんの姿がすがすがしく感じる。今年の4月に新入社員として入社したジェフ・エスパラゴザさん。キットパスの製造担当である。入社1カ月とは思えないほどの手さばきで仕事に取り組む。取材にうかがった日は、入社して初めてのお給料日であった。お給料で家族にプレゼントをするとのコメントが聞かれた。コロナ禍で、障害のある社員たちが自宅待機を余儀なくされ、営業部や企画部、総務部など出勤できる社員が総出でキットパスの製造ラインに入った時期があった。ところが、その時期に海外を含めたくさんの注文があり、出荷が追いつかない状態が続き「自分たちにとうていできない仕事を障害のある社員たちがやってくれていると痛感した」と大山さんが話す。「お昼休みなど、必ずだれかしらが﹃旅行に行きたい﹄、﹃今年も旅行はむずかしいかな﹄と話題にする。早くコロナが落ち着いて、全員で楽しい時間を過ごしたい」と雫さんはいう。「会社として変わらないことは、彼らと一緒にやっていくこと。事業はどんどんイノベーションを起こしていく。そして、お互いがお互いを活かそうと思う人の集団になっていきたい。そして多くの企業、団体、個人と﹃共働態﹄となって、﹃みんなの幸せが私の幸せ﹄になる未来に貢献したい」と話す大山さんである。「VブUCA(予測困難な)(※)時代」といわれる現在、10年ぶりに訪問した日本理化学工業はどんどん進化・変化を遂げていた。変わらないのは、障害のある社員がやりがいと誇りをもって仕事に取り組み、戦力として会社を支えているということ。障害のある人が働きやすい会社は、すべての人が働きやすい会社。このことが真実であることを、多くの社員が長きにわたって働いている日本理化学工業の存在が教えてくれていると、あらためて感じた一日であった。カー    ろり  コロナ禍を経て、これから※ VUCA:Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった言葉。     元々は軍事用語だったが、変化が著しく未来の予測がむずかしい状態をいい、2010年代に広まった言葉ジェフさんは、キットパス製造の重要な工程をになうジェフさんが働く、キットパスの成形工程初めての給料を手に笑顔のジェフ・エスパラゴザさん(写真提供:日本理化学工業株式会社)働く広場 2022.725

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