働く広場2022年7月号
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【作業管理支援の構成】【作業管理支援におけるアセスメントの視点】【作業管理課題の構成】【作業管理課題の実施方法】当機構の障害者職業総合センター職業センターでは、発達障害のある方を対象とした「ワークシステム・サポートプログラム(WSSP)」を実施することにより、発達障害の特性に応じた的確な支援を行うための技法開発・改良を行っています。WSSPでは、地域障害者職業センターをはじめとする就労支援機関から、「発達障害者の職場定着には、スケジュール管理や時間見積もりなど作業管理上の困難さについてアセスメントし、その管理能力を向上させる支援が必要」との意見をいただいていました。そこで、作業の基本的な流れにおける一連の工程を的確に処理し、与えられたタスクを完了すること(以下、「作業管理」)に対する支援として、令和3年度末に実践報告書№39「在職中又は休職中の発達障害者に対する作業管理支援」をとりまとめました。以下にその概要について紹介します。作業管理支援の構成は図1の通りです。作業管理支援では、与えられた作業課題を制限時間(期間)内に仕上げるために必要な能力として9種類の「実行機能」(図2)をアセスメントの主な視点としました。ただし、実行機能の働きに問題がなくても作業管理上必要となる行動がとれない場面があります。そこで、作業管理上必要な行動の発現を妨げる要因となる「作業管理を妨げる思考」、指示に対する質問や確認、進捗管理状況の報告など他者とのコミュニケーション上の課題がコミュニケーションに関する知識・スキルの不足が要因となる「コミュニケーションに関する知識・スキルの不足」を加え、11の項目をアセスメントの視点としました。障害者職業総合センター職業センター管理課題」と言い、13種類の作業を特徴ごとに7つのグループ(タスクA〜G)に分けています(図3)。受講者の理解度が変わることを防ぐため、教示方法を細かく設定しています。種類や作業、難易度を選択し、指示を出します。あわせて、受講者の作業の様子を11のアセスメントの視点にそって「行動観察シート」に記録します。ケジュールを自ら計画し、実行します。時には支援者と相談しながらタスクを遂行することもあります。あわせて、作業中のできごとについて「ふりかえりシート」(図4)に記録し、自らの取組みを振り返ります。作業管理支援で受講者が行う作業は、「作業作業管理課題では、支援者の伝え方によって支援者は、受講者の状態に応じて、タスクの受講者は、支援者の指示に応じて、作業のス発達障害者のワークシステム・サポートプログラム在職中又は休職中の発達障害者に対する作業管理支援        図1 作業管理支援の構成図2 実行機能の下位概念と定義図3 作業管理課題の各タスクの課題項目働く広場 2022.728

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