働く広場2022年7月号
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太たとの間で思いついた構想でした。障害のあるオリヒメで接客するカフェは、寝たきりでありながら私の秘書も務めた親友の故・番ば田だ雄ゆ人や外出困難者の新しい働き方を実現していくための実験の場と考えています。カフェでは彼らが自宅などでオリヒメを操作し、接客を通してお客さんと触れ合うことでどんな心理的向上が見られるのか、一方のお客さんはどんな気持ちになるのか、といったことを調べました。2018年に東京都の虎ノ門で実施した実験カフェでよい結果を得られたことから、さらに仕事の幅を広げることも試みました。大手町や渋谷での期間限定店を経て、2021(令和3)年から日本橋で常設実験店「分身ロボットカフェオリヒメを操作する「パイロット」の登録者は現在、全国各地に住む約70人です。一日1時間でも働けるとうれしいという方から、長く働きたいという方まで、それぞれの障害や抱えている事情に合わせてシフトを組んでいます。」を運営しています。の自動化ロボットや、AIロボットにはあまり興味がありません。カフェのパイロットの方たちのように、仕事をしたいと思っている人のために考え出したのがオリヒメなのです。――2020年には障害者就労支援サービスて、「これなら遠隔地でもスムーズに働いてもらえそうだ」と考える企業や自治体などと、これまで30件以上のマッチングを成功させてきました。常用雇用のほか、一時的な請負業務なども合わせるともっと多くなりますね。ィ  んうドルータバI iリ   ンー.2メDデー(※)を置いて、パイロットが対応しています。大手ファストフード店では無人レジカウンターの隣にオリヒメがいて、レジの使い方を案内したり、おすすめ商品を紹介したりしています。オリヒメから発せられるのは人間の生の声ですから会話も広がりやすく、なかには看板娘のような存在になった店舗もあるそうです。ト、秘書業務、技術検証業務などの実績があり、企業のリクエストに合わせて新しい業務も開拓中です。ちなみに私は、人が仕事をしなくてすむためカフェで経験を積んだパイロットの様子を見ある大手通信会社では、受付の窓口にオリヒこうした接客業務をはじめ、営業アシスタンオリヒメが接客するカフェ企業の受付や秘書業務も︱︱吉藤さんは2010︵平成22︶年に遠隔人型分身コミュニケーションロボットOオriHヒmメeを開発し、現在はオリヒメを活用したカフェを運営されています。これまでの経緯を教えてください。「AアVATARGギULD」も始めていますね。※オリヒメD:全長約120cmで、テレワークをしている人が遠隔での接客や物を運ぶなど、身体労働をともなう業務が可能になる分身ロボット株式会社オリィ研究所 所長吉藤オリィさんよしふじ おりぃ 1987(昭和62)年、奈良県生まれ。高校時代に電動車椅子の新機構発明で2004年の高校生科学技術チャレンジ(JSEC)で文部科学大臣賞受賞。2005年に米国のインテル国際学生科学技術フェア(ISEF)でグランドアワード3位。高専で人工知能を学び、進学した早稲田大学創造理工学部在学中に分身ロボット「OriHime」を開発し、2012年に日本青年会議所「人間力大賞」受賞。同年、株式会社オリィ研究所を設立。2016年、米フォーブス誌「30 Under 30 Asia」に選出。おもな著書に『「孤独」は消せる。』(サンマーク出版)、『サイボーグ時代』(きずな出版)。DドAWN バvージeョrンベータ働く広場 2022.7「分身ロボット」で、新しい働き方の実現を

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