働く広場2022年7月号
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POINT採用面接には各部署の担当者も同席し、マッチングを見きわめ直接配属1現場の声を聞きながら、ハード・ソフト両面の職場改善を重ねる2「チャレンジフォーラム」で意識啓発、トップとの意見交換も3大手ゼネコンの「清水建設株式会社」(以下、「清水建設」)が、本格的な障害者雇用に乗り出したのは2009(平成21)年ごろからだ。それまでは、法定雇用率未達成の状態が続いていたという。同年4月、人事部にダイバーシティ推進室を開設したのを機に、社内のバリアフリー化を進めながら、各部署や各支社での雇用を拡大してきた。いまでは全従業員1万1083人のうち、障害のある従業員は172人(身体障害155人、発達障害を含む精神障害は2・38%(2022︿令和4﹀年4月1日現在)だという。配属先は、本社をはじめ北海道から九州まで計10事業所で、設計、施工支援、見積り、現場監督を含む施工管理、人事・総務・経理、研究などさまざまな部署で働いている。中な幸ゆ恵えさんは、開設時から上司1人とと5きかちこ人事部ダイバーシティ推進室主査の田たもに配属された。はじめて障害者雇用に取り組むうえで「何でもやってみよう」との気持ちで臨んだそうだ。その一つが、2009年度から2年間にわたり厚生労働省の「精神障害者雇用促進モデル事業」に参加したことだ。しかし、すぐに大成功とはいかなかった。「職務能力の見きわめがむずかしく、当事者の方たちも苦労していたと思います。トライアル雇用後に正式採用した途端、勤怠が不安定になってしまった方もいました」その後、就労支援機関からのアドバイスもあり、精神障害のある従業員については、2時間程度の時短勤務から始めてもらっている。本人から「もう少し長い時間働きたい」との希望が出ることもあるが、30分~1時間ずつ延ばし、1年かけて徐々に勤務時間を長くしていくそうだ。全般的な採用活動については、ハローワークの合同就職面接会などに参加しつつ、人材紹介会社の有料サービスも積極的に利用した。心がけてきたのは、人事部だけで対応しないことだという。面接時から他部署の人にも同席してもらい、一緒にマッチングを判断している。面接に参加している東京支店人事部第4グループ長の横よ瀬せ順じ一いさんは、「これまでの経歴を含めて細かに質問し、入社後にどんな仕事をしたいか、やれそうかをイメージしながら、本人に合いそうな部署・担当も考えます」と説明する。はじめて受け入れを依頼する部署からは、「フォローできる社員がいない」、「できそうな仕事がない」といった理由で難色を示されることもあったが、「障害者雇用は、公共工事における会社の評価項目にもなっています」などと説明し、理解を求めた。一方、実際に受け入れた部署からは「話してみると予想以上によい人だった」、「一緒に働くイメージがつかめた」と好反応。その様子を見ていたほかの部署から「うちでも受け入れてみたい」との声が増えていったそうだ。障害者雇用の推進に向けたハード面でゅんダイバーシティ推進室を軸に各部署での直接雇用新社屋のバリアフリー化清水建設株式会社人事部ダイバーシティ推進室主査の田中幸恵さん東京支店人事部第4グループ長の横瀬順一さん14人、知的障害3人)で、障害者雇用率働く広場 2022.7

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