働く広場2022年8月号
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業を担当しているが、最近、メール便の仕分けや販促品のセット組み作業なども任されるようになった。経緯について岩﨑さんが話す。「あるときチームの1人から、『仕事に飽きました』という声を聞いたのがきっかけです。意欲のある従業員を中心に新しい仕事にトライしてもらったところ、驚くほどスムーズにいきました。まず、任せてみることの大切さをあらためて実感しました」藤岡DCには、各店舗から返送されてくる商品もある。陳列中にキズなどがついたりして販売できなくなったものだ。こうした商品はこれまで費用をかけて処分していたが、2021年から、比較的状態のよいものを選び社内販売する新たな事業を始めた。下山さんは「もともと社内の割引制度はありますが、このB級品販売は、少しのキズさえ気にしなければ非常に安く購入できるため、グループ会社のみなさんにたいへん好評です」と手ごたえを語る。商品の仕分けから撮影、従業員向けECサイト登録までを倉庫の一角で行っている。特設バーゲン会場のように、さまざまな洋服がハンガーにかけられて並び、脇には五つの撮影ブースとパソコンを設置。商品1点ごとに小さなキズなどがわかるよう数カット撮影され、1日300点ほどが登録されているという。この現場には障がいのある従業員6人が配属されている。その1人、松ま井い映え二じさんは、事業立ち上げに合わせて2021年2月に入社した。松井さんは3年ほど前、転居で環境が変わったことから鬱う病をわずらい、病院で初めてASD(自閉スペクトラム症)と診断されたという。「それまで自覚がないままいろいろな仕事をしてきたのですが、長く安定して働き続けることを目標にしました」。就労移行支援事業所で就職活動をしたときも、「一般の職場だと自分の障がいについて知っている人がかぎられるケースが多いので、余計なストレスを抱えないよう、職場全体に理解のある特例子会社を探しました」という。松井さんと一緒に働く群馬サポートセンターの小こ松ま愛あ子こさんは、「一度に多くのことを指示すると『何からやればいいんでしたっけ?』と混乱する様子だったので、少しずつ伝えるようにしています。一方でパソコン操作が得意で、ほかの人に教えてくれて助かっています。今後はチーム内の管理業務もお願いしたいですね」と信頼を寄せる。松井さん自身は「作業内容が突然変わると、ものすごく緊張するのですが、少しずつ鍛えられてきましたね。障がいを理解してもらえている安心感が大きいです。以前は“報・連・相”があまりできなかったのですが、ここではちゃんと反応してもらえるので、できるようになりました」と語る。「今後は商品の撮影だけでなく、データ加工や備品管理なども覚えて、チームをフォローしていきたい」という松井さんは、早くも地方アビリンピックの表計算種目への挑戦を決めているそうだ。群馬サポートセンター物流支援アシスタントマネジャーの内な藤と丘たさんは「障がいのある人もない人も一緒に働くうえで、いかに作業を簡素化するかが大事だと思っています。職場で掲示する文章をシンプルな表現にしたり、商品の処理コードを統一化したりするといった工夫も重ねています」と説明する。「作業で本人があせるような状況にはしかし B級品の社内販売業務 拠点同士の人的補充もいついうついつ8撮影ブースに商品をセットし撮影を行う松井さん藤岡DCで働く群馬サポートセンターの松井映二さん販促品のセット組み作業

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