働く広場2022年8月号
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Forたくないので、仕組みのなかで効率を生み出しつつ、得意なところを伸ばせる適材適所を考えています。手先の器用な人、機械が苦手な人もいますから、チーム内での業務の切り分けやメンバー入れ替えも柔軟に行っています」また下山さんによると、同じ倉庫内で物流支援と事務支援の2業務をになっていることから、それぞれの繁忙期に合わせ、互いに余裕のある従業員を補い合えるメリットもあるそうだ。人的な連携範囲は全国各地におよぶ。「データ処理などパソコンを使った事務は、山形や福岡などの拠点にヘルプを頼むこともあります。業務の調整がしやすいよう、日ごろからセンター長の週次会議で予定などを情報共有しています」最近は、アダストリアのシステムサポート業務への参画も検討されている。AGSの各拠点に、プログラミングなど専門スキルのある従業員が増えてきたからだ。下山さん自身、アダストリアのシステム部門に在籍していたことがあり、互いに相談しやすい環境も奏功している。下山さんは「システム支援業務が拡大すれば、『在宅勤務ならパソコンを使って働ける』という人も採用できるようになります」と先を見すえる。AGSでは、障がいのある従業員向けの人事制度も柔軟に変えてきた。以前は、時給制の有期雇用社員からスタートし、契約社員を経て正社員登用への道筋がついていた。だが、障がいのある正社員の就業規則などが一般社員と同じだったため、「登用されても、ほかの社員と同じように働くのではプレッシャーがかかる」といった不安の声があった。そこで3年前から、限定正社員制度を導入。転勤がなく、労働時間も一日6時間から勤務可能だ。育児休業や子育て期間の短時間勤務などの制度も利用できる。このほか有期雇用社員向けに皆勤賞(賞状と特別手当)もある。近年は、休職からの復帰支援にも力を入れている。産業医と密に連携し、本人との面談を重ねながら、復帰に合わせて生活記録表などをつけてもらい、徐々に職場復帰できるようフォローしていくという。「職場に精神障がいのある人が多くなっており、休職するケースもありますが、職場復帰率はかなり高いと自負しています」と話す岩﨑さん。「せっかく縁あって入社してもらったのですから、どの従業員も、意欲的に長く働き続けられるような環境づくりに努めていきます」と力を込める。障がいのある従業員が一緒に働く職場が増えてきたアダストリアでは、商品開発でも大きな動きを見せている。その一つがインクルーシブファッションの発信だ。社内の公募企画をきっかけに2021年から「Playfashion!べての人が、ファッションをもっと楽しめる社会を創る」という新しい理念を掲げ、車いすユーザーや低身長、入院中の人の視点をもとに、洋服やパジャマのデザイン提案を始めた。AGSでは、障がいや持病のある従業員らが企画に参加し、モデルとしても協力した。完成したインクルーシブファッション商品は、アダストリアグループの公式WEBストアで昨年販売し、特設サイトで開発の経緯なども公開。いまはAGSで働く当事者の声をアンケートなどで集め、既存の商品のなかから「ウォッシャブル」などをテーマに、障がいや病気のある方にも着やすい服を提案している。今後もAGS従業員の声を商品開発に活かしていくという。ALL~す 人事制度も柔軟に インクルーシブ商品を開発物流支援アシスタントマネジャーの内藤丘さん群馬サポートセンター群馬サポートセンターの小松愛子さん松井さんをサポートする9

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