働く広場2022年8月号
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(2)週所定労働時間20時間未満の障害者雇用の実態等について    「加齢に伴う体力・能力等の低下」はA型事業所では「知的障害」、B型事業所では「身体障害」が有意に多い状況でした。また、B型事業所では「その他」について「身体障害」、「知的障害」が有意に多い状況でしたが、「身体障害」については「少ない日数を希望」といった内容、「知的障害」については「他事業所やサービスと併用しながら短時間就労を希望」、「日中サービスの利用を週何日か続けたい」といった内容であり、いずれも本人の希望や都合によるものでした。ヒアリング調査においては、週所定労働時間20時間以上働くことがむずかしい障害者のなかには自分で時間の過ごし方を考えることがむずかしい者、環境の変化への対応がむずかしく、対人関係が苦手な者もおり、本人のストレスを受けとめる場として就労継続支援事業所が必要であるという意見が聞かれました。アンケート調査結果において、一般就労移行時に労働時間を週20時間未満とする雇用契約を締結した者がいる就労継続支援事業所の割合は、A型事業所においては2・4%、B型事業所においては6・0%でした(図2)。労働時間を週20時間未満とする雇用契約を締結した者がいると回答した事業所の事例(1事業所5事例を上限に回答:A型事業所57事例、B型事業所486事例)の障害種別は、A型事業所、B型事業所ともに「精神障害」がもっとも多く、次いでA型事業所は「身体障害」、B型事業所は「知的障害」でした。労働時間を週てもっとも多く選択されたのは、「体調の変動・維持」(A型事業所70・2%、B型事業所61・9%)であり、次いでA型事業所は「症状・障害の進行」(22・8%)、B型事業所は「その他」(26・7%)、内容としては求人内容や雇用形態など会社側の条件があげられました(図3)。本調査研究の結果からは、週所定労働時間20時間未満の雇用に対する障害者のニーズが少なからず存在することが把握されました。また、ヒアリング調査からは、障害者雇用率、障害者雇用にかかる支援制度等の該当の有無にとらわれず、障害者の力を職場で活かそうとする事業主の姿勢や、障害者雇用のためのテレワークやワークシェアリングの活用、職務の調整、職務創出その他障害特性等に対するさまざまな工夫や配慮により、週所定労働時間20時間未満の障害者の雇用が支えられている事例から、こうした働き方が事業主および雇用されている障害者双方に利益をもたらしていることが把握されました。No・165」は、障害者職業総合センターのホームページからご覧いただけます(28ページ★)。本レポートの元となる「調査研究報告書4 まとめ20時間未満とする雇用契約を締結した理由とし図2 労働時間を週20時間未満とする 雇用契約を締結した者の有無 B型事業所 (486 事例) 症状·障害の進行体調の変動·維持入院治療家庭の事情加齢に伴う体力·能力等の低下その他無回答A型事業所 (57 事例) 症状·障害の進行体調の変動·維持入院治療家庭の事情加齢に伴う体力·能力等の低下その他無回答 A型事業所 (1,734 事業所) 図3 労働時間を週20時間未満とする雇用契約を締結した理由 B型事業所 (5,709 事業所) 22.8%22.8%70.2%70.2%0.0%0.0%12.3%12.3%12.3%12.3%10.5%10.5%0.0%0.0%20%40%60%20.4%20.4%61.9%61.9%0.8%0.8%5.8%5.8%6.0%6.0%26.7%26.7%0.4%0.4%20%40%60%◇お問合せ先:研究企画部 企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.go.jp)0%80%0%80%いる 2.4%いない 97.6%いる 6.0%いない 94.0%29

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