働く広場2022年8月号
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を店長に率先して提案するようになった。日ごろAGSの事務所にいる皆川さんは、佐瀬さんとオンラインで面談するほか、業務改善の指導も行っている。事務所に“模擬バックルーム”をつくり、オンライン画面を通して「こんな整理方法がありますよ。試してみてください」などとわかりやすくアドバイスしているそうだ。店長を務める山や岸ぎ勇ゆ太たさんは、「佐瀬さんがバックルームの業務をしてくれることで、私たちスタッフは接客などに集中でき、非常に助かっています」と語る。山岸さんは、佐瀬さんのことを「バックルームの店長」と位置づけているという。「彼にとっては、店のスタッフが“お客さん”です。バックルームで商品をどう並べたらスタッフが見やすく手に取りやすいかなどを考えながら、業務のクオリティ向上を目ざしてもらっています」佐瀬さんは入社翌年から毎年、地方アビリンピックのワード・プロセッサ種目やオフィスアシスタント種目に挑戦している。ある日、職場に掲示されていたポスターを見て「見学してみたい」と話したところ、周囲から「だったら出場しなよ」と背中を押されたことがきっかけだ。参加を重ねるなか、競技中に必要な仕事の段取りや確認作業などは、バックルーム作業と相通じるものがあると気づいたという。「収納する商品が多くて心が折れそうになったとき、ふと『いまの状況、競技中に似ているな』と感じます。『まずは落ち着いて考えて、分類しよう』などと持ち直し、後になって『この作業の技はアビリンピックでも使えるかも』とうれしくなることもあります」AGSでは、全国各地から毎年20~30人が地方アビリンピックに参加しているほか、障がい者スポーツ大会にも数人が出場しているという。会社としても積極的に応援する意味を込めて、受賞者だけでなく参加者にも褒賞金を支給している。上信越自動車道の藤岡インターチェンジから車で5分ほど行ったところに、アダストリアグループの物流拠点「アダストリア藤岡DC」(以下、「藤岡DC」)がある。ここの2階に入っている群馬サポートセンターは、全国で唯一、物流支援業務を行っているのが特徴だ。センター長を務める下し山や貴た男おさんは、「これまでも、少し離れたところにある事務所のスタッフが物流の繁忙期に藤岡DCへ単発的に手伝いに来ていたのですが、2021年に、群馬サポートセンター事務所が高崎から移転し、藤岡DCと同じ建物に入ったことを機に、日常的な支援が可能になりました」と説明する。広い倉庫内の1階では、グループ会社「株式会社アダストリア・ロジスティクス」とAGSの従業員らが一緒になって、全国の各店舗に送る商品の分配作業を行っていた。この現場は知的障がいのある従業員が多いが、班長になってみんなをリードする従業員が数人いるそうだ。別のAGSチームは、商品用の布サンプル整理や段ボール解体、清掃など軽作7かまもましう 物流拠点を支える物流拠点の「アダストリア藤岡DC」藤岡DCでの商品分配作業「グローバルワーク」店長の山岸勇太さん佐瀬さんの定着支援を担当する群馬サポートセンターの皆川聖成さん群馬サポートセンター長の下山貴男さん

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