働く広場2022年9月号
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●在学生からお話を聞くる3年生において、各専攻コースごとに「インターンシップ」の授業が設定され、必修ではなく選択の科目となっているものの、選択する学生が多いとのことである。これは文字通り、企業という実社会でそれまで学習してきたことがどのように関係するか体験するために、2週間程度の実習を行う授業である。もちろん単に実習のみということではなく、実習前の事前学習、事後学習もセットとして行っている。現在、さまざまな企業で大学生を対象とした「インターンシップ」が行われているが、実態としては1日の見学会であったり、大学生同士のグループワークであったりの場合もある。しかし、加藤教授によれば、筑波技術大学の「インターンシップ」は、企業での1~2週間程度の就労体験ができるように企業に依頼しているとのことであった。このような授業のほか、プロジェクトやボランティアの経験を積める機会もある。例えば、つくばエクスプレスを運営する首都圏新都市鉄道株式会社と大学で連携協定を結び、駅のユニバーサルデザインの設備を学生がチェックするプロジェクトや、都内のろう学校の児童を対象に「ものづくり教室」を開催し、学生が講師としてかかわる活動などもある。また、大学の授業や活動だけでなく、生活に密着した就労経験である「アルバイト」もキャリア形成に影響を与えることもあるだろう。一方で、障害のある大学生が、障害者法定雇用率に基づく正規雇用ではなく、アルバイト先を探すのは、むずかしい場合が多いのではないかと私は感じている。しかし、筑波技術大学産業技術学部の学生についてはお店も協力的で、うまくアルバイト先を見つけられているそうだ。職場は、ファストフード店や居酒屋、(聴覚障害のある子どもを対象とした)家庭教師など、さまざまだという。また、同大学の学生が以前からアルバイトをしていて、先輩から代々引き継がれているものもあるそうだ。アルバイトについても、開学以来30年以上の時間が経過している強みがあるように感じられた。そのほかに、通常の大学では学生が企業の合同面接会に出向くが、筑波技術大学では企業に学内に来てもらい、説明会を開催するとのことである。またこの説明会には、可能なかぎりその会社に就職した同大卒業生にも参加してもらったり、インターンシップ先だった企業が出席したりしている。先輩である卒業生からの言葉ということで、在学生にとって心に響くものがあるとのことであった。在学生からも、就職活動などについて     うろ       やろのお話を聞くことができた。1人目は室む井い彩あさん(21歳)、産業技術学部総合デザイン学科4年生。「インターンシップも含めて10社の採用試験を受けました。現在、金融機関から内々定を得ています。大学の紹介で企業の説明会に参加し、その金融機関が多様性を大切にしている点に興味を持ったことがきっかけで、面接を受けました。大学でのプレゼンの練習は、将来社会に出て役に立つと思います。また、大学でボランティア活動のリーダーを経験したことで積極性が身につき、いろいろ学ぶことができました。この大学に入学を目ざす聴覚障害のある高校生などへのメッセージは、『人に頼って、助けを求めることが大事』だということです。また、『壁にぶつかったときに一人で抱え込まないでほしい』。私は高校までは周りの人にいわれるままに動いてきましたが、大学進学のときには、周囲から反対されても自分の入りたいという意思が強かったので進学しました。強い気持ちがあれば、ぜひ突き進んでほしいと思います」続いて、廣ひ瀬せ紫し優ゆさん(22歳)、産業技術学部産業情報学科4年生。「説明会に参加したのは15社くらいで、面接を受けたのは4社くらいです。現在、内々定を得ています。大学で学んだプログラミングを活用して企業向けのシステムをつくっていく仕事です。そこは産業技術学部産業情報学科の廣瀬紫優さん産業技術学部総合デザイン学科の室井彩さんボランティア活動の一環として行われた「ものづくり教室」(写真提供:筑波技術大学)企業を大学に招き行われた「合同企業説明会」。企業で実際に働く卒業生の話も聞くことができる(写真提供:筑波技術大学)天久保キャンパス内の「学生寄宿舎居住棟」22

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