働く広場2022年9月号
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●在学生からお話を聞くTalker就職したり、大学院に進学したりしている。また同大学内にある東西医学統合医療センターで研修生のような形で数年間働くという人もいる。理学療法学専攻については、病院に就職することが多い。そのきっかけは病院での実習で、資格取得後その病院に就職するという流れが多いという。一方、情報システム学科は一般企業に、エンジニアもしくは事務職で就職することを目ざしている。就職先一覧を見せていただいたが、IT系の企業のほか、製造業や官公庁などさまざまな業種があり、なかには特例子会社に就職している人も見受けられた。インターンシップの授業は2年生から数日間で始め、3年生は1週間から10日と長めの期間を経験する。4年生では内定を判断するためにインターンシップを行うこともあるとのこと。また、2年生の秋から「キャリア開発」の授業があり、3年生の秋ごろから模擬面接や履歴書の書き方についての指導もしている。社会人生活に向けて、学生にはなるべ     さか       くリーダー役を経験してもらう機会を多く設けているという。高校までの盲学校では同級生が1人といった場合があるなかで、このキャンパスでは、みな視覚障害者で1学年10人といった、一定数の同じ障害のある同級生がいる環境であり、そのなかで遠慮せずにリーダーとして活動する経験を積んでもらうのである。そのほか、音楽やスポーツといったサークル活動なども盛んに行われている。ここでは、視覚障害のある学生が主体的に活動にかかわることのできる環境が用意されている。アルバイト経験については、洋服店でのバックヤード業務や、パソコン業務などのアルバイトに従事する学生もいる一方で、視覚障害の状況によってはむずかしい場合もあるそうだ。その場合、インターンシップが貴重な経験となり、そこで社会で働くことの感覚がわかり、勉学に一生懸命になる人もいるとのことである。アルバイト以外に、ボランティアなどの経験も重要であろう。保健学科の学生はマラソン大会でマッサージを担当することが多いという。情報システム学科の学生はボランティアを経験する人は多くないが、視覚障害のある高齢者のパソコン操作についてサポートするボランティアを経験したケースがあったそうだ。こちらの学部でも、聴覚障害のある学生が学ぶ産業技術学部同様、企業を招いて説明会を実施している。そこでは、自分がつくったプログラムやエクセルのマクロを組んで集計したものなどを企業担当者に見てもらうなどして、アピールをする機会もあるという。また、企業説明会ではその企業に就職した同大学の卒業生が一緒に来るようにしているそうだ。卒業後もOB・OGに大学の先生方がかかわる機会があるそうである。直接メールなどで卒業生から相談がある場合もあり、例えば「PCソフトを職場で導入することについての相談であったり、就職した会社が民事再生法適用となってしまい転職について相談や支援を行ったこともあったのこと。また、一般の大学を卒業した人に比べて、不本意に離職する人は少ないとのことである。辞める場合でも、その理由が人間関係の場合もあるが、支援機器の販売などの事業を立ち上げるためという前向きな理由の人もいるとのことで、ネガティブな理由で辞める人はほとんどいないそうである。1人目は赤あ木ぎ雅ま弥やさん(21歳)、保健科学部情報システム学科4年生。 「IT系の企業の内々定を4月くらいに得ました。エンジニア職です。それまでに8社くらい受けています。この会社を選んだ理由は、視覚障害のある社員が多く在籍しているということもありますし、直接知っていて親しくしている、1学年上の大学の先輩が在籍し」という読み上げ在学中のキャリア教育等働く広場 2022.9保健科学部情報システム学科の八染まどかさん保健科学部情報システム学科の赤木雅弥さん「企業招致説明会」の様子。企業説明の後に、学生がパソコン操作のデモなどを行い、企業からの質問にも答える(写真提供:筑波技術大学)学生が制作したプログラムのデモ。点図ディスプレイ(左下)を活用したシューティングゲーム春日キャンパス内の「学生寄宿舎」24

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