働く広場2022年9月号
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気分障害等の精神疾患で休職中の方のためのジョブリハーサルの改良要素の導入 当機構の障害者職業総合センター職業センターでは、気分障害等で休職中の方を対象とした職場復帰支援プログラム「ジョブデザイン・サポートプログラム(JDSP)」の実施を通じ、ストレス対処、アンガーコントロール、対人技能等、職場復帰支援にかかる先駆的な職業リハビリテーション技法の開発に取り組んでいます。2016(平成28)年度に開発した「ジョブリハーサル」については、全国の就労支援機関等でご活用いただけるよう普及に取り組み、多くの機関等で実施され、内容の拡充等に関する多数の要望や意見をいただきました。これを受けて、より活用しやすく効果的な技法となるよう2020(令和2)年度から改良に着手し、その成果を支援マニュアル№21「気分障害等の精神疾患で休職中の方のためのジョブリハーサルの改良」に取りまとめました。以下にその概要を紹介します。休職者が職場に戻って勤務することを想定し、実際の職場に近い模擬的な職場環境のなかで、チームで協力し合いながら負荷のある作業課題(以下、「タスクワーク」)に取り組み、それらを通じて職場復帰のために必要な知識や対処スキルを実践することを目的とする技法です。タスクワークには、職場で予想されるさまざまな負荷(ノルマや納期、予定の変更、交渉・調整、役割に応じた責任等)が設定されています。受講者はタスクワークに取り組みながら、自らの行動の特徴や思考の癖を振り返り、自ら障害者職業総合センター職業センターの課題に対して職場復帰支援等で学んだ知識や対処スキルを使って対応します。   (1)目標設定のための支援と社会人基礎力のの支援課題を検討しながら目標設定が行えるよう、「ジョブリハーサル目標設定のための自己チェックリスト」(以下、「目標チェックリスト」)を新たに作成し、活用の手続きを明確にしました。目標チェックリストの大項目は、従来のリワーク支援等にみられた「生活習慣・体調管理」、「ストレス対処」、「コミュニケーション」に加え、経済産業省が提唱した社会人基礎力の12の能力要素を採り入れた「仕事の取組み方・働き方」によって構成しました。社会人基礎力とは、仕事をしていくために必要な基礎的な力であり、12の能力要素は、職業、職種、業種、職位等を問わない横断的な指標とされています。(2)チーム構成における職位や役割の設定といった実際の職場での職位を反映させました。これにより、受講者は、職位に応じた役割や周囲からの期待等をふまえてタスクワークに取り組むことが可能となりました。(3)タスクワークの拡充成、企画立案・問題分析・合意形成、復職関連、その他の6領域に分類し、全45に拡充しました。タスクワークの内容は、別冊「タスクワーク集」に取りまとめています。なお、タスクワークは、受講者がこれまでの働き方を振り返り、自らチーム構成には、「部長」や「課長」、「主任」タスクワークを実務作業、事務作業、文書作●ジョブリハーサルとは●改良のポイント      図1 ジョブリハーサル実施例 部長(支援スタッフ)部長課長(受講者)担当者(受講者)担当者①販促の企画書②請求書の処理を頼んだよ。①は14時15分からプレ ゼンしてください。主任は、作業計画を立てて役割分担してください!指示指示働く広場 2022.9報告·相談主任(受講者)主任よし、今から作業計画と分担について打ち合わせしよう!分かりました。頑張ります!28

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