働く広場2022年9月号
7/36

創業85年の繊維企業若手の人材確保のためにPOINT若手人材の確保のため、高校だけでなく特別支援学校からも採用1「ものづくりマイスター制度」を活用し、技能検定やアビリンピックに挑戦2特別支援学校などとのつながりから、就労継続支援事業所に業務委託も3「AsahichoAsahicho家具や繊維・金属・機械など、ものづくり産業が盛んな広島県府中市で、1937(昭和12)年の創業から85年を迎えた繊維企業「株式会社Aアサsaヒhチicョhウo」)。以前は旭蝶繊維株式会社という社名だったが、2021(令和3)年に現社名に変更した。戦時中は軍服、戦後には作業服や学生服などを手がけ、現在はおもにワークウェアとして防寒服」(以下、や安全服、デニムパンツなどを企画・製造している。最近では早稲田大学と共同で、持ち上げ作業の負担をやわらげる補助スーツを商品開発し、2021年度の「日本機械学会賞(技術)」(広島県や島根県に計5カ所の直営工場を持ち、従業員は117人。うち障害のある従業員は6人(身体障害2人、知的障害2人、精神障害2人)で、障害者雇用率は6・25%(2022年6月1日現在)にのぼるという。今回は、本社工場で働く従業員の様子とともに、人材育成の取※1)を受賞した。組みなどを紹介していきたい。が、特別支援学校の卒業生を初めて採用したのは2015(平成27)年だ。工場長を務める舘た上が恵めさんは「障害者雇用ということではなく、あくまで若い人材確保の一環でした」と説明する。きっかけは同年にスタートさせた高校卒業者対象の採用活動だった。本社の総務部長として採用関連も取りしきる栗く原は悦え美みさんによると、背景には、とくに高齢化が進んでいた製造部の人材不足があったという。現場の若返りをうながすため、近隣のいくつかの高校に求人票を出したが、当時から高卒求人は売り手市場になりつつあったことから、なかなか就職希望者が集まらなかった。そんなとき、隣の福山市にある広島県立福山北特別支援学校の先生から電話があり、「Asahichoさんに、ぜひ推薦したい生徒がいます」といわれたそうだ。栗原さんは「私たちの高卒求人の話をどこかで聞いたのかもしれませんが、『とにかく一度生徒を、職場実習で受け入れてみてほしい』と熱心にいわれました」とふり返ぐむちみつらり5働く広場 2022.9※1 日本機械学会賞:一般社団法人日本機械学会により、1958年に「日本の機械工学・工業の発展を奨励する」ことを目的として設けられた賞株式会社Asahichoが手がけるワークウェア総務部長の栗原悦美さん工場長の舘上恵さん

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る