働く広場2022年10月号
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技での入賞なども目ざしているそうだ。 宝社塚内事便務業所で務はも今拡年大4月、それまで2部署を往復するだけだった新明和工業の社内便業務を、宝塚地区6部署に拡大した集荷・配達業務をスタートさせた。作業場は1階の広めの部屋だ。井上さんが「仕分用の棚はネットオークションで安く購入し、作業台は親会社から譲ってもらいました。各ボックスの宛名シールは西村社長の手づくりです」と明かしてくれた。最初の1カ月は西村さんが、担当の従業員3人につきっきりで現場指導したそうだが、苦労したのは新明和工業各部署の宛名の確認だという。もともと社内規則では、各部署名について航空機事業部は(航)、パーキングシステム事業部なら(P)などの略称・略号を使うことになっているが、「なかには部署内でしか通用しない略号などを記入する従業員もいます。そのたびに内線番号表などと照らし合わせて部署名を確認しました」と西村さん。のちほど紹介するグループ会社内広報紙で現状を伝えたところ、徐々に改善されているという。社内便を担当している1人が、2018年に入社した宝塚事務所の鈴す木き航わさん(27歳)だ。大学の文学部在籍中に発達障害と診断され、障害者手帳を取得した。キャリアセンターの職員に指導を受けながら一般枠での就職活動を進めたがうまくいかず、障害者枠に切り替えて新明和ハートフルに入社したという。面接では「うまく言葉で伝えられないことがあるかもしれない」ことなどを、あらかじめ相談したそうだ。これまでに名刺印刷や電子化、社内便などを担当し、いまはパソコンでのデータ入力なども任されている。鈴木さんもパソコン教室に通ってエクセル関連の資格検定に合格。いまはワード関連の勉強をしており、「アビリンピックにも出てみたいです」と意欲を見せる。西村さんは、「社内には表計算種目で、5年連続して全国アビリンピックに出場した先輩がいます。ほかの従業員にもぜひ挑戦してもらいたいです」と期待する。 製造現場から出る廃棄物を活用した業務開拓にも挑戦している。その一つが、西村さんの古巣である新明和工業の航空機たる事業部と連携した「アップサイクル活動」。アップサイクルとは不要物の特性を活かしつつ手を加え、新たな価値を付加して新しい製品に生まれ変わらせることだ。今回は、航空機部品などの製造過程で出る廃木材を活用。昨年から親会社と連携して猫用ベッドやパレット板を試作し、社内モニターから意見をもらいつつ商品化を目ざしている。最近も、キャットタワーを親会社の従業員と一緒に試作。従業員2人が指導を受けながらドリル操作、ねじ止め、サンディング(やすりがけ)作業などを行った。完成品は実際に猫の保護施設などで試用してもらっている。また、今年4月からは、廃棄電線の処理業務もスタートした。これまで、工場で製品出荷前テストとして加工した大量の電線は、業者に引き取ってもらっていたが、西村さんたちは、加工された電線からビニール製の被覆を剥むきとる手軽な専用機器があることを知って購入し、取り出した銅線をリサイクル業者に買い取ってもらうようになった。「ESG(※)やSDGsの視点も取り入れ、グループ会社に貢献できる業務を少しずつでも増やすべく日々模索しています」と西村さん。アップサイクル活動ず8※ ESG:環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)を考慮した投資活動や経営・事業活動をさすデータ入力業務を行う鈴木さん社内便やパソコン業務を担当する宝塚事務所の鈴木航さん社内便の仕分け作業

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