働く広場2022年10月号
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最A先I端アのノ開テ発技ー術シをョ支ンえる業新務たな業務もある。親会社で増えているAI(人工知能)を活用した事業で必須の「AIアノテーション」作業だ。これはAIに学習させるために必要なデータを意味づけ(タグづけ)する作業のことで、例えば道路を映した画面からAIに「車」を認識させるために、前もって学習用画像内の車に印をつけるというもの。西村さんは「もともと開発部門の従業員が地道にやっていたデータづくりですが、今後は可能なかぎり私たちが対応したいと考えています」と話す。すでに何回か請け負ったが、恒常的に受注できるようマンパワーを充実させることが課題だ。このほか新明和ハートフルの業務は、敷地内の植木の剪定作業や落ち葉の回収から、事務所が入っている建物の共有部分の清掃業務、敷地内4カ所のアルミ缶回収業務、水道メーター読み取り記録業務まで幅広くある。以前は、ほとんどがグループ会社の従業員の仕事だったそうだ。西村さんは「新明和工業のみなさんには、本業の開発や製造で、さらに力を発揮してもらいたいと考えています」と語る。 こグのル数ー年プ間だ会け社でとも課、さ題ま共ざ有まもな業務を開拓してきた新明和ハートフルだが、西村さんは「それでも業績は厳しいです」と明かす。特に主力の電子化業務は、職場のデジタル化による先細りが目に見えているため、危機感が大きいという。「さらにいえば、グループ会社内には、新明和ハートフルの存在や業務内容について知らない従業員がまだまだ多いことも課題です」と西村さん。そこで、2021年からグループ会社を含めた社内向けの広報紙「(ハート)通信」を隔月で発行している。業務内容や従業員たちの紹介だけでなく、毎回、西村さん自ら「近況報告」を寄稿。グループ全体の障害者雇用について説明したり、新明和ハートフルの業務の実績や新しい仕事をアピールしたりしている。ほかにも「(ハート)が抱える課題」と題した連載では、特例子会社や、障害のある人が能力を発揮する工夫、現場の指導員の高齢化などについて解説。グループ会社の従業員が少しでも障害者雇用について理解し、課題共有できるよううながしている。ある号でコロナ禍などによる受注の減少を訴えたところ、すぐにグループ会社の9部署から新規の依頼が来るなど、(ハート)通信の効果は大きいようだ。ただ西村さんは「グループ会社だけに頼っているわけにはいきません」とも話す。昨年度はコロナ禍により新明和ハートフルの受注も減り、時短勤務を余儀なくされるなど、事業の不安定さを体験した。「今後は少しずつ、外部からも仕事を受注できる環境づくりを進めたいと思っています。先日もある自治体のデータ入力事業の入札に参加しましたが、価格で負けてしまいました。ここであきらめず、活路を見いだしていきたいですね。業務の改善やスキルアップも図りながら、多様な特性のある従業員一人ひとりが、安心して活き活きと働き続けられる職場にしていきたいと考えています」グループ会社を含めた社内向けの広報紙「(ハート)通信」廃棄電線の処理業務。電線の被覆を剥き、中の銅線を取り出す(写真提供:新明和ハートフル株式会社)神戸市内の商業施設で行われたキャットタワーのモニターテスト「AIアノテーション」作業のサンプル。写真上の自動車などにマーキングを行う(写真提供:新明和ハートフル株式会社)9

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