働く広場2022年10月号
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「障害者雇用事例リファレンスサービ〈募集及び採用時〉「障害者の雇用の促進等に関する法律」の改正(2013〈平成25〉年)により、障害のある人と障害のない人との均等な機会や待遇を確保するため、また、障害のある人が職場で支障となっている事情を改善するために、事業主は障害特性に応じた配慮(合理的配慮)を提供することが義務とされました(2016年4月1日施行)。事業主は、「募集及び採用時」は障害者からの合理的配慮の申し出に対して話し合いのうえで実施可能な合理的配慮の提供を、「採用後」は申し出の有無にかかわらず職場で支障となっている事情の有無を確認し、話し合いのうえで必要な合理的配慮の提供を行うこととなっています。各企業がどのような合理的配慮の提供に取り組んでいるのか、当機構が2019(令和元)年に行った企業へのアンケート調査(1442社から回答)では、「募集及び採用時」または「採用後」に、次のような点に取り組んでいる企業が多いという結果が示されています。【※1】当機構では、企業が合理的配慮の提供に取り組むにあたり、その参考となる事例を毎年収集し、ホームページで公開しています。ス」に掲載している3500を超える事例から、いくつか具体的な取組みを紹介します。雇用事例リファレンスサービス)多くの企業では、ハローワークなどの就労支援機関と連携した募集を行い、採用にあたり参考とする情報(障害の特性、職務遂行能力、配慮すべき点など)をさまざまに工夫しながら把握しています。工夫の例としては、採用面接時に聴覚障害者に対して手話通訳を行うことや応募者が利用している就労支援機関の職員が同席する方法などがあります。また、実際の職務や職場の環境を理解してもらったうえで、応募・採用につなげるために、企業見学や職務体験の機会を設けている企業もあります。そして、見学・面接での状況や就労支援機関との相談などを参考に、採用後の合理的配慮を検討しています。企業によっては、トライアル雇用やで、スムーズな採用につなげているところもあります。障害の特性が影響して生じる疲れやすさなど体調や体力を考慮し、担当職務の限定、勤務日数や勤務時間の調整などが行われています。定期的な通院が必要な社員には、年次有給休暇とは別の休暇制度を設け、安心して通院できるように配慮している企業もあります。就労を支援する機器やソフトウェアを         活用している企業も多く見られます。最近では発達障害者や精神障害者向けに自分で体調を確認し不調の兆しを把握することで、早めに上司への相談につなげるセルフマネジメントのためのソフトウェジョブコーチ支援などを活用すること〈採用後〉具体的な取組みの例(障害者職場における合理的配慮の提供義務多くの企業が取り組んでいる合理的配慮の内容〈募集及び採用時〉「体調に配慮した面接時間の設定をしている」…31・6%「面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めている」…30・7%〈採用後〉「作業の負担を軽減するための工夫」「通院・体調等に配慮した出退勤時刻・休暇・休憩の設定」…46・7%…49・3%<参考資料>・調査研究報告書No.157「プライバシーガイドライン、障害者差別禁止指針及び合理的配慮指針に係る取組の実態把握に関する調査研究」https://www.nivr.jeed.go.jp/research/report/houkoku/houkoku157.html【※1】pp52-54、pp56-59 【※2】pp66-67 【※3】pp101-102 「障害者雇用事例リファレンスサービス」https://www.ref.jeed.go.jp/ 企業の障害者雇用の全体的な取組みを紹介する「モデル事例」と、障害者本人の希望・ニーズに応じて個別に配慮している取組みを紹介する「合理的配慮事例」を掲載しています これから障害者雇用に取り組もうとしているみなさまへの入門企画として4月号から始めた連載の最終回は、「合理的配慮の提供」について取りあげます。 「合理的配慮の提供」に取り組むにあたって、具体的な例、取組みのポイント、支援ツールなど、みなさまが企業の担当者として障害者雇用を進めるうえでの参考となる情報をご紹介します。働く広場 2022.10合理的配慮の提供10クローズクローズアップアップはじめての障害者雇用Ⅱはじめての障害者雇用Ⅱ〜障害のある人が働きやすい職場づくり〜〜障害のある人が働きやすい職場づくり〜最終回最終回

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