働く広場2022年10月号
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金か成な工場で働く阿あ部べ剛たさん(50歳)が表彰された。「ジオマテック株式会社」は薄膜技術(※)の専門メーカーであり、同社の製品はディスプレイ機器や自動車の車載機器など、さまざまな分野で使われている。同社は障害者を積極的に雇用する「障害者雇用優良事業所」として、2021(令和3)年度に「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長表彰」を受け、「優秀勤労障害者」として宮城県の難治性難聴のある阿部さんは、入社30年目のベテランだ。聾ろ学校を卒業後、同社に入社し検査部門などを経て、金成工場の梱包出荷部門を担当する責任者となった。入社当時から、口話や筆談、身振り手振りを駆使してコミュニケーションをとってきたが、昨今、新型コロナウイルス感染症対策でみんながマスクをしているため、口話で口の動きを読み取ることができず、苦労しているという。そこで、それをカバーするために、社内のコミュニケーションツールのチャット機能やメールを活用。ツールは、文字でやり取りができ、記録にも残ることから、作業ミスなども減ったという。金成工場は、試作から大量生産まで幅広い薄膜製造に対応しており、その梱包出荷作業は多岐にわたる。梱包作業は、専用の発泡プラスチックケースや段ボール、気泡緩衝材など、仕様書に基づいた梱包資材の使用が求められる。阿部さんは、試作品など小ロットの発送時に、コストや環境への負荷をかけずに製品を梱包するために、箱の高さが変えられる段ボールの導入を提案し、成果を出している。阿部さんに「優秀勤労障害者」受賞の感想を聞いたところ、「長く働き工夫を重ねてきたことが評価されたと感じ、うれしかったです。ここで定年まで勤めあげたいです」と話してくれた。けしうんり※薄膜技術:光を反射させたり、電気を通したり、水を弾くなど、元の材料にはない多種多様な機能を、見えないほど薄い状態で、後からコーティングする技術のこと出荷リストを確認し、ラベルシールを発行するジオマテック株式会社金成工場16

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