働く広場2022年11月号
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人への配慮を示す「耳マーク」は、「一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会」(東京都)が保有するマークで、交通機関や公共施設などで設置が広まっている。『発達障害の人が見ている世界』 精神科医で東京国際大学医療健康学部准教授の岩■瀬■利■郎■さんが、『発達障害の人が見ている世界』(アスコム刊)を出版した。これまで1万人以上の発達障害のある人と向き合ってきた経験から、発達障害の特性を持つ人、とりわけADHDとASDの人が〝見ている世界〟を紹介する。周りが理解に苦しむ言動も、本人たちが物事をどう受けとめ、感じているのか、つまり〝見ている世界〟を理解し対応策へと導く。大人から子どもまで、身近にある32の困りごとを紹介し、理由と対応策を紹介。発達障害、グレーゾーン、定型発達といった診断的な面だけにこだわらず、さまざまなコミュニケーションにおける困りごとの解決を目ざす。A5判192ページ、1595円(税込)。今年の3月、5年間お世話になった武庫川女子大学を定年退職し、4月からは大学の学生サポート室専門委員の仕事を担当している。学生サポート室(以下、「学サポ」)は、何らかの障がいや病のある学生が、合理的配慮に基づく修学支援が受けられるようにサポートすることを目的として全国の各大学で取り組まれている。私が勤める学サポには、日々多くの学生や両親からのメールや電話、来室があり、対応に追われている。学生たちの障がいや病は、視覚、聴覚、肢体不自由などの身体障がい、自閉症スペクトラムなどの発達障がい、適応障がいなどの精神疾患など多様化している。大学生の相談業務は初めての経験で、これまで経験した医療型障害児入所施設(旧肢体不自由児施設)における医療ソーシャルワーカーとしての相談業務とは異なる経験をしている。学サポでは、障がいや病により大学での学びが損なわれないように修学に関する配慮依頼を作成している。例えば、障がいや病が原因で授業を欠席した際に、何らかの課題を出してもらい、それを提出することで出席に替えてもらえるよう科目担当の教員に文書で依頼している。新型コロナウイルス感染症の影響から、大学では対面授業とネットワークを利用したオンライン授業を併用しているが、オンライン授業の弊害として友達ができないなど、人間関係の形成にも影響している。障がいの多様性は支援の多様性につながり、配慮の目的が学生の「修学の保障」にとどまらず「自立支援」に広がっている。また、教員からも実験や演習など、科目の特性から課題が出せない場合どのように対応したらよいかなどの質問が寄せられる。学サポ専門員の仕事に就いて6カ月が経ったが、相談に訪れる人の障がいの多様性のなかで、あらためて「合理的配慮とは何か」を考え悩む毎日である。編集委員として新たな決意、〝多様性への対応〟武庫川女子大学学生サポート室専門委員 ■■   ミニコラム ※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は諏訪田委員が執筆しています。ご一読ください。★本誌では通常「障害」と表記しますが、諏訪田委員の希望により「障がい」としています編集委員のひとこと第18回本紹介諏訪田克彦マスコットキャラクターアビリンピック滋賀働く広場 2022.11※新型コロナウイルス感染症の影響により、変更する場合があります。※全国アビリンピックは 11月4日(金)〜11月6日(日)に、 千葉県で開催されます。地方アビリンピック検索青森千葉神奈川312022年度地方アビリンピック開催予定10月下旬〜12月青森県、千葉県、神奈川県、滋賀県*部門ごとに開催地・日時が分かれて いる県もあります*  は開催終了

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