働く広場2022年11月号
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透と意いさん。「私自身、入社時は先輩従業すが、3カ月ほど練習をくり返して覚えてもらい、とうとう一人でも作業できるようになりました」と喜ぶ。本人が申し出た理由について米田さんは、「私の忙しい姿を見て、『自分も作業ができれば楽になるのでは』と思ったようです。その話を聞いて驚きつつもうれしくなりました」と教えてくれた。 椎本茸格事的業なとと印も刷に事当業初からスタートさせている印刷事業は、グループ会社内で使う帳票類やチラシ、ポスター、名刺、小冊子などを手がけるほか、北見市内の企業や施設、学校などからも注文を受けている。現場は、椎茸の出荷作業が行われているフロアの隣。二つに分かれた広い部屋には、製本用機器からカラーデジタル複合機、本格的なオフセット印刷機まで揃う。現場を取り仕切るのは、印刷事業部のアシスタントマネジャーを務める川か口ぐ員のみなさんから教えてもらったことも多く、障害の有無はあまり意識していません。ただ体調などは本人が気づかないこともあるので、休憩時間に軽く話しながら様子を確認しています」と話す。指導する立場になってから心がけていることは、「(障害のある従業員に)同僚と比べることをさせない」、「作業のなかでミッションを達成できなかったときは、相手の目線に立って指導する」ことだそうだ。デザイン制作などを担当する車いすユーザーの井い下し正ま幸ゆさん(54歳)は、テルベ設立時に入社した。もともと木材会社で働いていた井下さんは、通勤中に交通事故にあい脊髄損傷を負ったそうだ。その後は不定期にパソコンなどを使った仕事をしていたが、テルベのことを市報で知り応募。「地元にテルベのような会社ができたのは幸運でした」とふり返る。入社後は、同僚に教わりながらデザインの仕事もできるようになったという。「職場内は車いすでも非常に動きやすく、和気あいあいとした雰囲気も含め、ハード・ソフトの両面でバリアフリーだなと感じています」と話す。特別支援学校在学中に職場実習を経験し、2017年に入社した富と田た雪ゆ乃のさん(24歳)は、最初は椎茸栽培にたずさわっていたが「出荷に間に合うよう収穫できるか毎日ドキドキでした」と明かす。いまは印刷事業部でさまざまな補助業務を担当し、「自分のペースで進められるので、米よ澤ざ利と昭あさん(30歳)だ。この9年間で合っていると感じます」という。今後について聞くと「グループホームの生活は楽しいですが、社内の先輩のように一人暮らしを目ざして貯金しています」と話してくれた。その先輩というのが2013年入社の順調にステップアップしてきたという。まず印刷の断裁作業からスタートし、入社6年目に、操作が複雑なオフセット印刷機の仕事を担当することになった。「自分に務まるのか不安でしたが、社員さんに教わり、なんとかできるようになりました」と話す。2019年にはテルベから初めて地方アビリンピック北海道大会のオフィスアシスタント種目に挑戦。同年、運転免許も取得しマイカー通勤になった。「どれも、職場の上司にすすめられたからこそ挑戦できました。少しずつ自信もついてきたと思います」と米澤さん。8年目にはパートタイムの有期雇用から契約社員に登用され、10年目の今年7月からは念願の一人暮らしをスタート。「地元の公営住宅の抽選に何度も応募しました。自炊や家事は苦労もありますね。さびしくなったら、仕事を終えた後に差し入れを持ってグループホームに立ち寄ります」と笑顔で語ってくれた。うわちみきさたのききしわね6パソコンで印刷物のデザインを行う井下さん印刷事業部でデザイン制作などを担当する井下正幸さん印刷事業部アシスタントマネジャーの川口透意さん

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